一番の理解者である親は、アドバイザーとしては失格!?

 

僕は「その人を一番よく知っていること」と「その人に一番役に立つアドバイスができること」は別だと思っています。

 

「自分は大学には興味がなく、将来シェフになるのが夢なので、『高校卒業後は調理学校に行き、その後イタリアに行きたい』と親に話したら、両親に『食べていけるようになるまで何年かかると思っているのか』と呆れたような顔で言われ、『とりあえず何でもいいから大学までは出て、そこから考えろ』と念を押されました。両親とも同意見で、絶対に曲げそうにありません」と語る人がいました。

断言していいと思いますが、この親は「何年かかったら食べていけるようになるのか? アシスタントとしては平均年収はどれぐらいなのか? アシスタントを卒業して一本立ちするまでの平均修行年数はどれぐらいなのか? 個人でお店を持つ場合とレストランに勤める場合だとどれぐらいの収入の違いがあるのか?」などを調べた上で否定しているのではないでしょう。ただ、ムードで(雰囲気で)言っているだけです。

どうして言えるのか?

子供のことをよく知っていると思っているからです。ですから、親のアドバイスを拒否したり従わなかったりすると、「親の愛情」とか「親の思いの深さ」をなんだと思っているんだ、と怒る人がいますが、「愛情」と「アドバイスの内容」は別のことだとよく分かるでしょう。

「親の愛情」と「的確なアドバイス」を混同してはいけないのです。