傷つけることをしてきたり、支配しようとしたり、コントロールしてきたりする「毒親」に苦しんでいる人は、意外といるもの。人は親から愛を学ぶことが多いため、親子の関係がうまくいっていないと、自分の恋愛、結婚、子育てに影響を与えてしまうこともあるでしょう。
ただ、35歳以上になっても、いつまでも「親のせい」なんて言っていられません。もうそれなりにいい大人の年齢ですし、親のせいだろうが、自分で自分を幸せにしなくてはいけないですしね。
では、大人になってからの「毒親の乗り越え方」には、どんな方法があるでしょうか。


毒親の乗り越え方1:親と距離を空ける

 

いくら血のつながった親子とはいえ、親が自分のことを傷つけたり、一緒にいると不幸になってしまったりするときは、離れたほうがいいでしょう。
親と一緒に暮らしている人は、まず、家を出ましょう。できれば、少し距離のある場所に引っ越して、頻繁に会えない状況にしたほうがいいのです。
親の介護のために同居している場合でも、費用はかかりますが、できることなら施設を利用して、別々に暮らしたほうがいいでしょう。毒親によって自分の心が傷つけられ、余裕がなくなってしまうと、優しくできなくなってしまいますしね。

 

どんな人も親からの自分の価値観に大きな影響を受けているので、離れることでようやく自分らしさが取り戻せるところもあります。いい関係を築くためにも、一旦離れて、冷静に家族のこと、自分自身のことを客観視できるようになることが大切なのです。
たとえ親が文句を言ってきたとしても、「一緒にいると傷つけ合ってしまうから」といって、離れることを諦めてはいけません。ただし、「いい関係でいるために、離れるのだということ」はきちんと説明しましょう。

私の母は「毒親」というほどではないですが、彼女が若い頃は、私に理想を押し付けたり、コントロールしたりする傾向はありました。だから、私自身は、大学を卒業して就職したタイミングで家を出て、1人暮らしを始めました。
相談したら反対されるのは分かっていたので、住む家を決めてから報告し、強行しました。「このまま一緒にいると、母親のことが嫌いになってしまう」と思ったからです。
それが今思い返しても、「いい選択だった」と思っています。だいぶ関係は改善しましたしね。

毒親は、子供に依存してしまう(子供を利用しようとしてしまう)ことが多いもの。そして、「子供は自分のもの。もしくは、自分の分身」だと思っているところがあるので、傷つけようが、支配しようが、思い通りにコントロールしようが、構わないと思っているところがあります。だから、まずは距離を空けることで、「同じ人間ではないこと」を認識させないといけません。
結局、親子がいい関係を築くためには、子供が大人になったら、お互いに精神的に自立をしている必要があります。そうなって初めて、親と子供は、「お互いが違う人間なのだ」と実感できるようになるところもあるのです。
それで言えば、意外と子供のほうも「こういう親であってほしい」と期待しがち。そして、それが裏切られると傷ついてしまったり、怒ってしまったりすることもあるので、親の言動に影響を受けすぎないためにも、「親からの自立」が必要なのです。

毒親の多くは、愛情不足で育った人も少なくありません。だからこそ、愛し方を知らないのです。もし、親がきちんと子供を愛せる能力がないなら、まずは自分がきちんと「本当の愛は何か」を学んで、親を愛せるようになる必要があります。
そして、「親を愛する」というのは、甘やかすことではありません。わがままでいさせることが、愛情でもありません。だから、親がどんなに怒ろうが、寂しがろうが、精神的な自立を教えることは、ある意味、子供の役目。そのほうが、結果的に親も自分も幸せになれるのです。

それに、親子だからこそ、親は子供からの“本当の愛情”に気づくものです。単に自分を嫌いだから離れようとしているわけではないことも分かるでしょう。
だからこそ、ちょっと厳しくしてでも、親の精神的な自立を促すために、距離を置いたほうがいいのです。

ただし、離れるのにも、コツはあります。愛情はあることは、相手に伝わっていなくてはいけません。それがなくて距離を空けたら、“絶縁”だと思われますしね。
もちろんなかには、絶縁したほうがいい親子関係もありますが、そこまでではない場合は、きちんと自分の愛情が相手に伝わるようにしておいたほうがいいもの。それについては、次のページで詳しく紹介します。

次ページ▶︎ 「距離を空けるときに大切なこと」について

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