「これで痩せる」「マイナス●キロ」など、女性メディアの鉄板テーマであるダイエット。特に夏になると、ダイエット記事につい目が吸い寄せられてしまいます。ですが、「そもそも、なぜ自分は痩せたいのだろう?」ということを掘り下げてみると、心の奥底に意外な感情が埋まっていたのに気づくかもしれません。
7月9日に発売された『痩せてる女以外生きてる価値ないと思ってた。』は、タイトルそのままのことを、約19年間抱き続けていた女性の自伝コミックエッセイです。


ざくざくろさんは、プラマイ10kg以上の急激な体重変動を19年間、繰り返してきました。「自分は価値がない」という思い込みがダイエットの根底にあった、と冒頭で語っています。

「自分には価値がない」そんな思いでダイエットに苦しんだ19年間『痩せてる女以外生きてる価値ないと思ってた。』_img1

 

22年前、中学一年だったざくろさんは149cm、41kgと小柄ながらも標準体型でした。もともと集団登校が苦手で、学校生活が大嫌いだった彼女。さらに、仲良しだった同級生が引越したこともあり、中学時代は不登校になってしまっていました。

 

その同級生が教えてくれた雑誌に載っていた、自分と同年代のモデルたち。スタイルが良くてあかぬけている彼女たちに「かわいい」とときめく。と、同時に、「女性はスタイルが良くて着飾ってチヤホヤされるのが価値だ」と思い込んでいったのでした。

不登校でひきこもっていた時期にもその思い込みは強くなり、「今より5kg痩せたら学校へ行こう」と体重計に乗る日々。

でも、痩せなきゃと思うほどに食べまくってしまう。そして2年後には、+13kg……。

中学卒業後、通信制の高校に通うことになったざくろさん。久しぶりに外界に出ると、周囲の同級生がすでに「大人の女性」らしい体つきになっているのに気づきます。

ずんぐりむっくりな自分の身体が恥ずかしくなり、「やっぱり細くてかわいくないとアカン 男の人はみんな細い女が好きなんや」という思いにかられつつも、過食に走ります。

「自分には価値がない」そんな思いでダイエットに苦しんだ19年間『痩せてる女以外生きてる価値ないと思ってた。』_img2

 

学校では、いつも男子の目が気になるようになったけれども、いつもからかわれる対象にしかならない。そして、男子だけでなく、女子からもからかいの対象になって、いつしか「いじられキャラ」を演じるように。

これは太ってる今だから、一時的なものだから。「やせたら本当の自分がはじまる」と信じていた彼女。痩せたいと願うほどに、なぜか食欲旺盛になるジレンマを抱えながら……。

全日制高校に入り直し、高校2年生になった時には、64kg・体脂肪率40%。3年間で23kg太ってしまいました。

必死にダイエットし、ようやく痩せてきた主人公は、ある出来事をきっかけにさらにダイエットを加速させていきます。
「炭ヌキ」こと、炭水化物抜きダイエットに挑戦。

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これが功を成し、ダイエットに成功!

クラスメイトに驚かれ褒められた彼女は、
「やせたらいいことしかない」
と有頂天になります。そして、男子とうっかりぶつかった時に、彼が友だちに「なんでちょっとうれしそーやねん」と言われているのを見た後の、この反応。

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「生きていいよ」っていわれたみたいだった


太っていた時、からかわれていたのを思い出したざくろさん。学生時代には外見をからかうのはよくあること、と言う方もいるかもしれませんが、それってとても残酷なこと、というのがこの言葉でわかるでしょうか。

そして、クラスメイトの「スクールカースト上位」な女子たちに遊びに誘われ、ついにプリクラやカラオケを満喫する憧れていた女子高生ライフを手に入れます。

でも、男子に「かわいい」とはじめて言われた時、ある別の感情がじわじわと染み出して止まらなくなるのです。

男の人に 異性として 受け入れられることは
こんな気持ちのいいことなんや……!

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自分の求めていた憧れの生活を手に入れた主人公。もっとこの感覚を得たい! と思うのですが……。

本作のモノローグでは、現在から過去を振り返って冷静に分析する作者。太っている時、痩せている時のビジュアルもはっきり描き分けています。

学生時代の彼女は、感情のアップダウンがとても激しい。自分を過剰に褒めてみたと思ったら、貶めてみたり。
少しでも痩せたり、自分の外見のかわいさを発見すると、喜びまくって自信を持つのですが、とっても過剰。不安の裏返しなのか、必死に自己肯定感を高めようとします。消えそうな火をうちわであおぐように。

自己肯定感は、無理矢理高めるものではなく、自分自身を受け入れられた時に自然と高まるもの、なんじゃない? と、盛り上がっては崩れていく激しい感情の描写を読みながら筆者は思いました。

必死に自己肯定感を高めようとするも、不安に駆られる。現在の旦那さんと出会ってからも感情のアップダウンは続きます。

こんなに「男に認められたい」気持ちに囚われていた原因とは? ざくろさんはほんとうは誰に認められたかったのでしょうか。
幸せを手に入れたかに見えて、体重と承認欲求にどこまでも振り回される悪戦苦闘の日々を描く『痩せてる女以外生きてる価値ないと思ってた。』。今回は3話まで読むことができます!


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「自分には価値がない」そんな思いでダイエットに苦しんだ19年間『痩せてる女以外生きてる価値ないと思ってた。』_img6
 

『痩せてる女以外生きてる価値ないと思ってた。』
著者:ざくざくろ ぶんか社

「太ってる時と痩せてる時の男の態度の違い、あなたも感じたことありませんか?」スタイルが良く、顔立ちの整った同級生に憧れ、男にチヤホヤされることを夢見る学生時代のざくろ。中学時代の不登校が原因で激太りして以来、ダイエットを繰り返していく。承認欲求にとらわれた著者のリアルコミックエッセイ。

アイコン画像

作者プロフィール:ざくざくろ

ADHDと軽度アスペルガーを併発している滋賀県に住む漫画家。Instagramで話題沸騰となった『ウチにはクズがちょうどいい ADHD女子の恋愛変歴』など、SNSで発表した作品が人気を呼んでいる。自身のTwitterアカウントで現在連載中の『初恋、ざらり』は電子書籍化され、話題に。
Twitterアカウント @timtimtooo
 Instagramアカウント @zaguzaguro


構成/大槻由実子


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