ーー人を殴れば「暴行」の罪。人前で「死ね」などの悪口を言ったら「侮辱」「傷害」の罪になるーー
子ども向けに書かれた法律書『こども六法』は、2020年児童書部門ベストセラー1位、累計69万部に達し話題となりました。そして7月21日、そのコミカライズ『まんが こども六法 開廷!こども裁判』が発売。
いまだに「いじめ」が後を絶たない状況下で、子どもたちに法律を知ってもらうことが助けになるという著者・山崎聡一郎さんの信念がもとになった作品です。コミカライズ発売にあたり、その想いを語っていただきました。
『こども六法』の限界を、マンガで乗り越えたい
ー『こども六法』コミカライズのきっかけを教えていただけますか?
実は以前からマンガ版『こども六法』を作りたいという話は何度も頂いていましたが、すべて断っていたんです。というのも、『こども六法』は法律の条文をそのまま訳している本なので、ストーリーがないんですよね。だからマンガにはしにくいという気持ちが根本にありました。
しかし『なかよし』に声をかけて頂いたとき、法律を訳したマンガにするのではなく、マンガにしかない強みや魅力を使いながら、あくまで法律の本である『こども六法』の限界を超える本を作ろうとなったんです。そして企画を進める中で、『こども裁判』という発想が決め手となりました。
ー『こども六法』の限界とは、具体的にどんな点でしょうか?
『こども六法』は法律の本であり、いわば辞書。例えば“マンガ版広辞苑”はないですよね。また、広辞苑だけで日本語のすべてを理解できるわけでもありません。広辞苑は単語を理解するもので、文法などは分かりませんから。同様に『こども六法』も、あくまで法律の条文がそのまま載っている辞書です。
法律の条文の意味を調べることはできても、“じゃあ法律は具体的にどう使うのか?”“この法律が守ろうとしているものは何か?”など、『こども六法』に説明を入れると『六法』ではなくなってしまうので、あえて記載しなかったんです。
その限界を、マンガを使って乗り越えられたらいいと思いました。
ーマンガに登場する事例はどれもリアルで共感されることも多いと思いますが、どのようにストーリーを作られたのでしょうか?
子どもに起きるトラブルの事例自体は山のようにあります。例えば、コンビニで誰か知らない人のビニール傘を勝手に持って帰る、自動販売機の下に落ちていた500円玉を拾って自分のモノにする、赤信号を無視して渡る、チャンバラごっこで相手の目を怪我させる......など。
ただ、単純に“暴力で人に怪我をさせたら傷害罪”“ネットへの悪口の書き込みは名誉毀損”というように、事例と法律を一対一で並べてもマンガのストーリーにはなりません。
なので、その法律が「守ろうとしているもの」はそれぞれ何なのか、どんな説明が必要なのかということにフォーカスし、そのための事例を当てはめていきました。
『まんが こども六法 開廷!こども裁判』を試し読み!
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