つらいストレス体験を成功体験によって上書きしていく

 

もしストレスからうつ病を発症したのであれば、すみやかにストレスから離れることが大事です。しかし、適応障害の場合はストレスから離れようとすると、悪化する可能性も高まります。

 

たとえば、「上司に𠮟られて怖い思いをした」という感情的記憶がこびりついていると、新しい上司が前の上司ほどではなくてもちょっと厳しいことをいうと、すぐにイメージが重なってしまいます。恐怖は汎化するため、違う上司であっても似た出来事があると、前の上司のことを思い出して「やっぱりダメ。怖くて会社に行けない」ということになったりします。

適応障害にならないため(あるいは克服するため)には、ストレス体験にとらわれないようにすること、つまり適応障害の原因となったストレスをできる限り回避せず向き合って乗り越え、心のバネ(ストレス耐性)を強くしていこうとすることが大切です。

たとえば、仕事に不安を感じたり、上司を怖いと思っても我慢して仕事や上司とのコミュニケーションを続けていれば、次の仕事はうまくいって上司に褒められるということもあるでしょう。そういう成功体験を繰り返すことで、仕事や上司に対する不安や恐怖は次第に薄れ、やがて気にならなくなります。つらいストレス体験を成功体験によって上書きしていくのです。そうしてストレス状況に対する不安や恐怖が克服されると、心のバネが強くなり、その後はストレス状況に対応できるようになります。