人を評価するとき、その対象はDoingとHavingとBeingの3つがあると言われています。Doingは、行為に対する評価です。たとえば、「お風呂掃除をして、えらいね」というのがそうです。Havingは、持っているものや地位に対する評価です。「学級委員をやっているなんて、お母さんは誇りに思うわ」といったことです。Beingは、存在そのものに対する評価です。「あなたが何をしようがどういう状態であろうが愛している」ということです。ほとんどの親は、子どものことをBeingで愛しています。たとえDoingもHavingも最悪だったとしても、心の底で存在そのものを肯定しています。ところが、言葉にするのはDoingとHavingの評価ばかり。これでは「厳しい社会」と同じです。

 

社会はBeingで評価してくれず、DoingとHavingで評価します。会社で「お前はいてくれるだけでいいんだ」と言ってくれる社長なんていません。友達関係だってそうなのです。「一緒に過ごすと楽しい」というメリットがあるから仲良くしているのであり、逆に「愚痴ばかりで疲れるな」とか「おごらされてばかりだな」と思ったら人は離れていきます。

 

社会ではいやでもDoingとHavingで評価されるのですから、親くらいはBeingで評価することが重要なんです。「何をしたってあなたが大切なのよ、あなたは素晴らしいのよ」と言ってくれる人がいることは、心のセーフティネットになります。


著者プロフィール
坪田信貴さん:坪田塾塾長。心理学を駆使した学習法により、これまでに1300人以上の子どもたちを「子別指導」、多くの生徒の偏差値を急激に上げてきた。一方で、起業家としての顔も持つ。また、人材育成、チームビルディングの能力が多くの企業から求められ、マネージャー研修、新人研修を行うほか、現在は吉本興業ホールディングスの社外取締役も務めるなど、活躍の場は枠にとらわれない。テレビ、ラジオ、講演会でも活躍中。著書に映画化もされて大ベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』のほか、『人間は9タイプ 仕事と対人関係がはかどる人間説明書』『バクノビ 子どもの底力を圧倒的に引き出す339の言葉』『どんな人でも頭が良くなる 世界に一つだけの勉強法』『吉本興業の約束』ほか多数あり。

『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』
著者:坪田信貴 SBクリエイティブ 990円(税込)

「人に迷惑をかけるな」「勉強しなさい」「やる気あるの?」など。子どもに対してついつい使ってしまう言葉が実は心理学的に逆効果になっているという驚きの真実を、「ビリギャル」の原作者としても知られる著者が実例と心理学を用いて解説します。子ども時代にこれらの言葉を刷り込まれた大人が読めば、自己変革のヒントになること間違いなしです。



構成/さくま健太

 


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