長男はペーパー婚姻のときに一緒に出した入籍届で夫の戸籍に入り、夫の名字になれたから良かったが、次男は出生届で夫の戸籍に入って夫の名字となっていた。これを、離婚届提出後に家庭裁判所でその名字をレワ子に合わせる手続をしなければならなかった

このときさすがにレワ子も自分がそこまでして貫こうとしているものが、いったい何なのかわからない感覚になった。夫婦別姓にせずに自分が夫の名前になることさえ受け容れれば、このような手間はかからない。まるで自分が、婚姻という社会制度に政治的な意気込みで強く反対している、極端な活動家のようにも思えて、いっそ自分の名字を捨ててしまおうか、とすら思ってしまった。

そういえばなぜこのわずか1か月程度のペーパー婚姻のときに、自分の名字を選ぶことを夫に提案しなかったのか。そこには夫婦別姓と事実婚の選択が、女であるレワ子のワガママであり、男である夫には「人並みの結婚すらできない」と我慢させているような、そんな引け目がレワ子にあったのかもしれない。

 


レワ子さんの自分のキャリアに対する誇り、自分の名前に対する責任。それらを夫婦で大事にしていく道を選んだものの、子供の親権問題については様々な「手続き」の問題に直面するのでした。レワ子さんは思わず弱気になりながらも、家事全般が得意な夫の協力もあり、「事実婚」夫婦としての子育てを、共に乗り越えていくことを選びます。

レワ子さんが次男を出産した後、夫は1年間の育休を取得。その間レワ子さんは家事を夫に任せ、編集長格でヘッドハンティングされた転職先で、仕事に精を出していました。しかし、夫の1年間の育休が終わるころ、事件が起こります。

 

ある日、夫の服装や挙動不審な様子に、違和感を持ったレワ子さん。ロックされていなかったスマホの画面にふと目をやると、こんなメッセージが表示されていたといいます。

『先生、奥さん、大丈夫でしたか?  慌てて出たけど、証拠は残してませんwww』

夫が、大学の元教え子との浮気していたことが発覚したのです。
さて、レワ子さんのように「事実婚」夫婦のどちらかに浮気が発覚したとき、どうすればいいのでしょうか。さらに、子供の親権はどうなるのか。レワ子さんが弁護士に相談すると、「事実婚」夫婦ならではの「離婚」の問題点が見えてきました。
 

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参考:婚姻関係にある夫婦の「離婚までの流れ」と、法が定める「親権」について
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