総合感冒薬は複数の薬を一度に飲むようなもの
もう一つ、盲点になりやすい薬が抗アレルギー薬です。特に、古くから使われてきた「第一世代」と呼ばれる抗アレルギー薬には注意が必要です。そう聞くと、「アレルギーはないし大丈夫」と思われる方もいるかもしれませんが、実はこのアレルギー薬、いわゆる「総合感冒薬」に含まれることの多い薬です。
「鼻汁を抑えるため」という明確な目的があって総合感冒薬の成分の一部として含まれているのですが、これが強い眠気を出したり、だるさを出したり、便秘を招いたり、あるいは前立腺肥大症のある高齢男性ではその症状を悪化させて尿が出なくなってしまうなどの症状を招くこともあります。たかが風邪薬と思っても、実はこれだけのリスクにつながる可能性があります。
一度に複数の症状を抑えてくれる総合感冒薬は便利だと思って使うこともあるかもしれませんが、冷静に考えてみれば複数の薬をいっぺんに飲むことは、複数の副作用リスクをとることでもあります。
もしあなたの症状が熱と関節の痛みだけなのであれば、総合感冒薬よりも、純粋な解熱鎮痛薬の方が適していると考えられます。
このように、市販薬でも気をつけなければならないこともあります。「間違った薬」というのは身近なところにも存在しているのです。
前回記事「痛み止め+利尿剤で入院になることも!「薬の飲み合わせ」は高齢者ほど注意を【医師・山田悠史】」はこちら>>
参考文献
1 By the 2019 American Geriatrics Society Beers Criteria® Update Expert Panel. American Geriatrics Society 2019 Updated AGS Beers Criteria® for Potentially Inappropriate Medication Use in Older Adults. J Am Geriatr Soc 2019; 67: 674–94.
写真/shutterstock
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