目指したいのは、さかなクンのようなあり方

 

「自分の好きなことに熱中して、好きなことを追求した結果、誰かを蹴落とすことなく、その世界でトップになっている。本当に素晴らしい方だと思います。いつも楽しそうで、でもそれは実際に本人が楽しんでいるからですよね。私もそうなりたいんです。作品に携わっている自分が一番好きだから、それをずっと続けていきたいんです」

 

今回のフォトエッセイには、AKBの生みの親である秋元康さんのことに触れた文章も。秋元さんには、「人生の選択は自分でしなさい。相談にも乗るし、アドバイスはするよ。でも、決断は自分でしなさい」と14歳の時からずっと言われ続けてきたのだとか。AKBの卒業ももちろん自身の意思に委ねらたものですが、秋元さんは卒業を発表する日の本番前に、長いメールを前田さんに送ったと言います。そこには、卒業を発表した場合としなかった場合、それぞれの未来に待っているであろう“いいこと”と“悪いこと”がずらーっとリストになっていたのだそう。結果的には卒業を決断した前田さんですが、30歳を機に独立した際にも秋元さんに相談をし、背中を押してくれたおかげで一歩前に進むことができたと言います。今でも週に一度はLINEで相談しているそう。そして、著書には過去の恋愛の話も。

「今までお付き合いした人は4人。特殊な世界で、普通の女の子から離れた人生を送っていた私に、普通のあれこれを教えてくれたのは恋愛だったなって思います」


14歳でデビューし、“AKBの前田敦子”として人々の羨望とプレッシャーの狭間で果敢に闘っていた少女は、いま30歳を迎え、さらに10年後の自分を心待ちにしていると言います。

「いい流れには身を任せたいタイプなので、もしかすると海外にぽーんと行ってしまったりしているかもしれない。最終的には“こんなふうに楽しく生きてるおばあちゃんっていいね!”って思われたら最高ですね。目指すのは、そこなのかもしれません」


人生のさまざまな経験を経て、今後彼女はどこへ向かってゆくのか。ひと回りもふた回りもたくましくなった彼女の姿から、ますます目が離せません。

 


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『明け方の空』
著者:前田敦子 宝島社 1540円

30歳という節目を迎えた現在の心境を、半年間かけて綴ったという前田敦子さん初のフォトエッセイ。シングルマザーとして奮闘する子育ての様子をはじめ、仕事に対する熱い思いや大切な人たちのことなど、赤裸々な思いが綴られています。冒頭の「前田敦子って楽しそうだから、私も楽しくやろう!」と思ってもらえたら嬉しい、という言葉のとおり、たくましくハツラツと生きる彼女の姿に元気をもらえる1冊です。



文・構成/井手朋子