気にして欲しい「180日ルール」のカラクリ


多くの医療保険は、同じ病気で2回入院した場合、1回目と2回目の間が180日以内であれば、1回の入院として扱われます。これが「180日ルール」です。香織さんの母親は、同じ病気でかつ1度目の退院から1週間後の再入院だったため、1回の入院として扱われました。そのため、本来の支払限度日数である60日分しか支払われなかったのです(違う病気の入院でも180日ルールが適用される保険もあるので要注意)。

実は香織さんの母親が入っていた「60日型」は、現在の医療保険の主流とも言えるタイプ。診療報酬制度の変化によって長期入院しにくい状況であることから、この60日型に入る人が増えてきたのです。ですが高齢になると、若い人よりも入退院を繰り返す傾向があるため、60日では短いとも言えます。つまり万が一の備えとしての保険が、その役割を果たせなくなってしまうのです。

 

支払限度日数30日型から120日型までさまざま


保険の約款などを細かくチェックしている人は少ないかもしれませんが、保険会社や保険商品によって当然1入院当たりの支払限度日数は異なります。日数は、ネット保険に多い30日型をはじめ、60日型、90日型、120日型、中にはこくみん共済が扱う180日型という長期のものまでさまざま。支払限度日数が多いほど安心ですが、その分保険料が高くなるのでどれを選ぶのかは迷うところです。

ただし、今回の香織さんのケースのように、高齢者はがん治療などで入退院を繰り返すことも多いので、120日型に入っておいた方が安心かもしれません。日数を変更しても保険料は月額1,000円程度しか変わらないので、これを機にご自身やご家族の契約内容をチェックして、いざという時に備えてみることをオススメします。

写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子


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