銀行の代理人カードとは


結局、残りのひと月分の支払いは恵美さんが立て替えましたが、兄妹も配偶者もいない彼女は不安で仕方がなかったと言います。その一連の出来事を職場で話すと、上司から「銀行の代理人カードを作っておけば良かったんだよ」と思いもよらないアドバイスが。

 

上司いわく、代理人カードは1つの口座で複数人がキャッシュカードを所有できる仕組みで、遠距離に住んでいても無料で振り込みができたり、逆に引き出したりすることができる便利なものなのだとか。大半の銀行が、カードを共有できる相手は「生計を共にしている家族(同居、仕送り)」としていますが、実家の親の財産を管理するという理由は認められる可能性がとても高いといいます。

つい最近その申請を終えたという上司も、申込時は生計を共にしていることを証明するための書類は求められなかったのだとか。続けて上司はこう話します。

「夫婦間での生活費の共有やひとり暮らしをしている大学生の子供に仕送りするケース、金銭管理が難しくなった親の介護の時にも利用するケースが想定されるんじゃないかな。高齢になると、振り込みに行きづらかったりと、いろいろな面で家族がお金を管理をする必要が出てくるからね。

ただし代理人カードを発行する際は、預金者本人が窓口で手続きをする必要があるから、認知症を発症してしまうと難しくなるよね。恵美さんのお母さんはまだ60代だけど、認知症の発生リスクが高まる75歳より前に検討するのがベストだと思う。その時は年金が入金される銀行のカードを共有するのがいいんじゃないかな」

これは親が病気にならなくても早めにやっておくべきことだと判断した恵美さんは、母親の退院後、早速銀行に向かいました。実は多くの銀行が行っている代理人カードの発行。年末年始の帰省の際に、親のお金の預かり方を家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

〜主な銀行の代理人カード〜
東京三菱UFJ銀行
三井住友銀行 
みずほ銀行 
ゆうちょ銀行 
りそな銀行 
 

写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子

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