『東京リベンジャーズ』など主演作が続く北村匠海さんが演じる〈僕〉と、2022年度前期の朝ドラ「ちむどんどん」のヒロインを務める黒島結菜さんが演じる〈彼女〉の恋愛を軸にした青春映画『明け方の若者たち』。大学4年生の〈僕〉が、〈彼女〉に出会ってからの“沼のような”5年間を描くこの物語に、3番目の人物として絡む古賀尚人を演じているのが、“令和最初のウルトラマン”こと「ウルトラマンタイガ」の記憶も新しい、井上祐貴さんです。

尚人は印刷会社に入社した〈僕〉の同期で、ルックスが良く、社交的で、仕事もできる好青年。それだけに印象に残らない危険性を含んだキャラクターですが、井上さんは〈僕〉との距離感も含めリアルな親友像を体現し、見事に爪痕を残しました。

この難しい役にどうアプローチしたのかを入り口に、井上祐貴という注目の俳優に迫りたいと思います。

 


この役を“ただのいい奴”では終わらせたくなかった
 

ーー尚人は絵に描いたようなナイスガイで、演じる側にとっては逆に難しかったのではないでしょうか。

「そうなんですよね。いい奴だからこそどう演じたらいいか、めちゃくちゃ考えました。

脚本を読むと、尚人の出てくるシーンのどこかしらに、『いや普通そんな言い方しないだろう』っていう尚人ならではの言い回しがあったんです。僕から見るとクサいんですけど、尚人はクサいと思ってないし、なんならかっこいいと思ってるんですよね。それは、カッコつけているというよりは、自分は弱くないんだぞ、デキる男なんだぞと見せたくてこうい言い回しをしているのかもしれないと捉えたら、僕の中で尚人のシーンがすべてしっくりきました」

 

ーー尚人のそれは、23歳男子の「イキり」みたいなものかと思いますが、井上さんが演じる尚人は向上心があり、ちゃんと悩んでいて、イキっている若者特有のイタさみたいなものがなく、部下にいてほしい好青年でした。

「本当ですか? 嫌な奴には思われたくなかったんですけど、ただのいい奴で終わりたくはないな……と考えていたので、そう言っていただけるのはすごくうれしいです」


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役柄とは異なる憂いの表情、瞳の強さ。
井上祐貴さん撮り下ろしショット

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