確かにその後しばらく、雅子さまの涙を見ることはなくなりました。もちろんこの頃から、適応障害で公に姿を見せなくなったせいもありますが、ひょっとしてこの件自体、不調に至る発端の1つになったと言えなくもありません。涙ぐむことすら否定されたのであれば。

 


涙ぐむというのは、言うまでもなく人間の本能であり、生理の仕業。確かにアナウンサーがニュースを読みながら泣いてしまうのは決定的にNGとされ、TPOを問われるものであるのは事実です。

でもあの愛子様誕生の会見において、涙声になったことに見苦しいという感想を持った人が果たしていたのでしょうか。むしろ皇族との距離を最も理想的な形で縮めてくれた一瞬だったはず。
そして将来の天皇皇后の愛情深い人柄がたっぷりと伝わってくる、かけがえのない時間だったと言えます。

ちなみに、皇族の伝統に“国民に涙を見せない美徳”というものが厳然とあるのは確かなようで、美智子上皇后は、皇太子妃時代からその伝統を凛として守り続けた人、それはそれで尊いことだと思います。

ただ、雅子妃さまが出産されたとの報告を受けたとき、当時の美智子皇后が感極まって涙を流されたという報道には、少し心が温かくなったもの。

国の象徴である人々が、新しい命を授かることへの感動を表に出していけない国に住んでいることくらい、寒々しいことは無いからです。