少子高齢化が加速している日本。1990年代から社会問題として認識されていたものの、決定的な打開策もなく、ずるずると少子化が進んでいます。そんな中、「一夫多妻制を認めれば、少子化は解消される!」という、大胆な案があります。マリー・アントワネットの「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」発言並みのインパクトですが(実は、この有名な台詞は彼女の発言じゃないそうです)、「一夫多妻」をテーマにしたマンガなら存在しています。週刊ヤングマガジンで2014年から2019年まで連載されていた『ハレ婚。』です。

『ハレ婚。』(1) (ヤンマガKCスペシャル) 

「ハレ婚。」の主人公は、前園小春という22歳の女性。故郷の茨城県北つばめ市を離れ、東京で暮らしていましたが、東京で付き合った男性3人はいずれも既婚者。小春が望んでいないにも関わらず、既婚者ばかりが寄ってくることから、友人にも“既婚者ハンター”と呼ばれるほどでした。ほとほと嫌気が差していたところに、父が入院したこともあり、4年ぶりに故郷に戻ります。

 

東京を引き払った小春は、両親が自宅の1階で営んでいた喫茶店を手伝う気でいましたが、病院では元気そうに見えた父の病状は深刻で、母は「お店は無理なの」と小春の申し出を受け入れませんでした。でも、いつも勢いだけで後先を考えない無鉄砲な性格の小春は、「東京のカフェでバイトしたことあるの!」と勝手に店を開けます。そして、店に来てくれた地元の友人たちを前に、東京で散々嫌な思いをしたことから、故郷に帰ったのを契機に、恋も結婚もしないし、男には一切関わらないと宣言。

 

そこに、一人の若い長髪姿の男性が店に入ってきます。どうも店の常連らしいのですが、どこか様子が変。父の代わりに店を開けた小春を見て、涙を流しながら小春の腕を掴みます。「その優しく 健気で 純粋な心」と感動しているのと思いきや、「可愛いだけの女だね」と言い放ちます。

 

翌日も店を開ける小春ですが、客は誰も来ません。そんな状況を見かねた母は、借金がある事実を伝えます。店も実家も差し押さえられる予定なので、営業しても無駄だというのです。ショックを受ける小春の前に現れたのは、昨日の彼・伊達龍之介と謎の美女。借金があるため、もう営業できないことを告げると龍之介は「財布忘れた」と、美女を残して店を出てしまいます。数分後、龍之介は別のグラマラスな美女を伴って戻ってきます。状況を把握できずにいる小春の目の前に札束を出し、二人の女性・まどかとゆずを「美しき僕の妻たち」と紹介。

 

そして、龍之介はカウンター越しに小春に求婚します。「幸せにするよ 3人目だけど」と。小春じゃなくても意味がわかりません!

 

実は小春が上京している間に、故郷の北つばめ市では、少子化と過疎化対策のために、ひと家族4人まで妻を娶ることができる条例「ハーレム婚(通称ハレ婚)」が施行され、一夫多妻制を認める特区になっていたのです。龍之介には既に第一夫人のゆず、第二夫人のまどかがいましたが、小春の家の借金を肩代わりするかわりに結婚しろというのです。散々男に騙されてきた小春は、はじめはありえないと拒絶しますが、実家と思い出の詰まった喫茶店を救うために第三夫人になることに――。

実際、ハレ婚を受け入れてみたものの、夜の夫婦生活はローテーションだし、先輩妻からの風当たりはきついし、なんといっても夫の龍之介がいい感じにぶっ飛んでいて(褒め言葉!)、変態じみたところがあって、小春が警戒しまくるのも無理はありません。でも、龍之介は3人の妻をフェアに愛しているという点では一切のブレがありません。

なぜ2人もの美しい妻がいる龍之介が小春に執着するのか、妻が3人もいてうまくやっていけるものなのか、といったところは作品を読んでご確認いただくとして、家族のあり方は人それぞれであり、ある人から見れば、「一夫多妻なんてありえない」ということも、「一夫多妻だからこそ救われている」ということもあるのではないか、と感じずにはいられない、説得力のあるストーリー展開になっています。
 

1月16日から島崎遥香さん主演でドラマ『ハレ婚。』が始まりました(テレビ神奈川・毎週火曜よる11時〜、ABCテレビ・毎週日曜よる11時55分〜)。さらには週刊ヤングマガジンで短期連載「ハレ婚。おかわり!」もスタート。『ハレ婚。』のその後の伊達家を描いているのですが、これが1話目から、「小春、いったい何が?」という驚きの展開になっています。ぜひこちらもチェックしつつ、家族や愛のあり方について思いを馳せてみて。
 

 
 

『ハレ婚。』第1〜3話をぜひチェック!
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『ハレ婚。』
NON 講談社

愛は永遠、そして3つある……!???
すべてのオトメと、オトメを知るべきすべての男子に捧ぐ! ──地元を離れ東京で暮らす主人公・小春。ラブラブのカレもいるし……だったのだが、そのカレ、まさかの既婚者だった!! ふらっふらで地元へ帰る決心をした傷心の小春だったが、そこでは、さらに“ありえない”生活が待っていた……!!! 『デリバリーシンデレラ』のNONが描く、ヤンマガ移籍・新連載!!