毎週木曜日に公開されているスタイリスト佐藤佳菜子さんの連載『小柄で平凡なスタイリストの普通の日のおしゃれ』で、「ソックスの色は、朝の忙しい時間でも迷わずパッと穿いて決まるのがいいから、パンツの色に合わせる」というルールを紹介。難しいことを考えずともおしゃれになれるアイデアとして多くの反響を得ました。そんなスタイリスト佐藤佳菜子さんと一緒に「考えないで決まるおしゃれの極意」について紹介する特集がスタートします。今回から全8回です。
1回目は、スタイリスト佐藤さんが考える「あれこれ考えないでもおしゃれに見える」ためには、どうすればいいかについて紹介します。

 

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おしゃれに見えるために手を抜いていいのは、実は服!

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ジャケット/ラ トータリテ カットソー/エディション パンツ/ウォードブルー ベルト/エルメス

「大人の女性があれこれ考えず、手間をかけずにおしゃれに見せるために、いちばん大事なのは“土台”だと思っています。“土台”とは、髪の毛やメイク、ネイルのこと。これは私が究極のズボラアイデアとして考えた極端な話なのですが、裸でもこの人はおしゃれに見えるんだろうなという状態にしておくことで、コーディネートをがんばらなくてよくなる。つまり、効率よく、時短でおしゃれな感じになれると思います。ただもう、サッと服を着るだけでおしゃれに見えたらめちゃくちゃラクだと思いませんか? それが私の理想です。

自分でもちょっと極端かもと思うこの結論に至ったのは、ふだんスタイリストとしてモデルさんに洋服を着せつけてきた経験からのことです。彼女たちはモデルという仕事柄、いつどんなふうに撮影されてもいいように、常に髪も肌もネイルも美しく整えています。その丁寧に整えられた姿が自信となって現れ、私が服を着せつける前の状態でも、すでにオーラをまとっていて、なぜかおしゃれに見えるんです。それを何度も目の当たりにするにつけ、ここが目標だなと思うようになりました。

もちろん、私にはモデルのようにスラリと伸びた手脚はありませんし、あんな超人的なバランスのよさも手には入りませんが、幸い自分の土台を整えることはできます。

洋服を扱うスタイリストをしているので、服がなくても……は矛盾することを言っているように思われるかもしれませんが、自分自身が年齢を重ね、若いころとは違う衰えが出てきたからこそ気づいたことでもあります。

いくらおしゃれをがんばっていても、いい服を着ていても、“土台”がちゃんと整っていないと、だらしなく見えてしまうから、私自身も気をつけています」
 

こだわりポイント1
髪は伸びかけの状態にしておかない

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ここしばらくは、ずっとショートかボブスタイル。ヘアサロンは、もう何年もABBEYに通っていて小田嶋さんに切ってもらっています。

「髪型はそれぞれの好みのスタイルでいいと思うのですが、髪を伸ばしっぱなしの状態にはしないように気をつけています。髪を切ってからだいたい3週間くらい経つと、美容室で切ったときとはフォルムが変わり崩れてきます。だから毎月必ずヘアサロンに行きます。ちょっとしたことですが、伸びかけの髪型では、いくらおしゃれに手をかけても、いまいち決まらないので大事なポイントです。

ちなみに、私の場合は、服がコンサバで色も地味なので、髪型は少し攻め、モードなニュアンスのあるショートやボブが定番です」
 

こだわりポイント2
メイクはトレンドに合わせて更新していく

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チークはシャネルのリップ&チーク ボーム N°1 ドゥ シャネル 3 ヴァイタル ベージュをつけています。ヘア&メイクアップアーティストの桑野さんによると、指で頬の中心に乗せて、スポンジで少しずつなじませていくのがよいそう。つける位置が下になるとほうれい線がたるんで見えるので、上に広げていくのがおすすめとのこと。

「最先端のファッションのトレンドの服は着ないタイプですが、ヘアメイクのトレンドはちゃんと押さえるようにしています。撮影のときにヘアメイクさんが使っているコスメや、メイクの方法などをチェックしたり、教えてもらったりして、アップデートするように心がけています。

今回ヘアメイクをしてくれたヘア&メイクアップアーティストの桑野さんに教えてもらったのは、クリームチーク。コロナ禍になりマスクをするようになってからチークをつけない人が増えたと思うのですが、最近ようやくチークの人気が復活してきているそう。クリームチークなら粉っぽくならず、素肌感を残したまま自然な血色感を与えてくれるとのことで、桑野さんにおすすめのチークを塗ってもらいました。

モードなメイクはしませんし、盛りすぎる必要もないと思いますが、ノーメイクではなく、メイクはちゃんとする。ずっと同じメイクではなく、1点でもいいので、新しいアイテムを適度に取り入れて更新していくことで、古くさく見えず、あか抜けた雰囲気になると思います。

ファッション誌などの企画で、読者の方が出演する企画を担当するとき、私のスタイリングより、ヘアメイクさんに髪を切ってもらったり、メイクをしてもらったりと、手をかけてもらうことのほうが大事だと思っているくらい。朝時間がなくて、急いで家を出なければならないときに私がこだわるのも、服ではなく、ヘアメイク。やっぱりそれくらい髪型とメイクは重要なポイントです」

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