そして、もう1つの席に座るはずだったサマンサ姐さんは公開前から知らされていた通り、不在です。このサマンサ問題について3月9日にU-NEXTで独占配信されたドキュメンタリー『AND JUST LIKE THAT... / ザ・ドキュメンタリー』で製作総指揮のマイケル・パトリック・キングらが触れています。ファンの気持ちを汲み取りつつ、「友だちが疎遠になる現実」を見せる判断を下したその意図が理解できるはず。また撮影中、病気のため逝去したスタンフォード役のウィリー・ガーソンへの追悼の意も収めています。さらに新しく登場させたリサにチェ、ナヤ、シーマそれぞれの役割も解説し、今回のリブート版に満足できたファンであれば、必見です。
見どころはキャリーのワードローブ・ヒストリー
このドキュメンタリー版は、シーズン6まで続いたオリジナルのTVシリーズから2本作られた映画版、そして今回のリブート版まで総ざらい。思い出にどっぷり浸ることができます。一番の見どころは何と言ってもワードローブ・ヒストリー。これまでオリジナルSATC版の衣装担当だったパトリシア・フィールドと共に衣装を手掛け、映画『プラダを着た悪魔』も担当したモリー・ロジャースが衣装倉庫で「ステタン島の衣装が全部、揃ってるわ!」「これはアレキサンダー・マックイーンの特注品よ!」と、胸を躍らせます。オリジナル版でキャリーたちが着たファッションの数々が掘り起こされていくとは、なんて贅沢な時間でしょう。
リブート版のために用意した衣装の裏側もじっくり見せてくれています。ヴィンテージ・ディーラーの倉庫でロジャースが見つけた1996年頃のジャンポール・ゴルチエの衣装はキャリーを演じたサラ・ジェシカ・パーカー本人も一目ぼれ。この赤いネクタイのマニッシュなスタイルは第7話で実際に登場します。
こんなにも大勢のスタッフが長年にわたってSATCを支えてきたなんて。それがわかる映像も盛りだくさんです。実は今回、リブート版でミランダ役のシンシア・ニクソンが監督の役割を初挑戦し、その制作の苦労と情熱はニクソンの言葉から伝わってきます。これら制作の裏側ドキュメントから改めてこの作品の良さが気づかされもしました。それは、キャリーたちの話1つ1つが友だちの話かのように思えること。リブート版の特に前半は人種問題や性差別など、少々気合が入り過ぎたテーマをツッコミ過ぎていましたが、落ち着きを取り戻した中盤戦からは「キスする前に断りを入れるのはアリかなしか」といった小さなネタを拾い上げる率が上昇。SATCシリーズはこうであって欲しいものです。
パーカーの語りからさらに納得。「脚本家の誰かが実際に経験したことしかこの作品では描かないっていう決まりなの」。
モヤモヤっとするあれこれが詰まっているのはそういうことだったのです。50代にもそんな話はいくらでもありそうで、キャリーたちの物語をまだまだ見たくなります。製作陣はシーズン2に興味を示しているとか。正式な発表が待たれます。
想像通り?想定外?『SATC』50代になったキャリーたち
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『AND JUST LIKE THAT... / ザ・ドキュメンタリー』U-NEXTにて見放題で独占配信©2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max™ is used under license.
『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』U-NEXTにて見放題で独占配信中 ©2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max™ is used under license.
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