手術中に起こった「自分を高い所から見ている」体験


脳にはさまざまな部位があり、それぞれが異なる役割を果たしていることは皆さんご存じだと思いますが、体外離脱体験に関係するのは3つの部位の接合部分だそうです。

 

「体外離脱体験は『側頭頭頂接合部』と呼ばれる、①側頭葉の後方で、②頭頂葉の下方、そして③後頭葉の前方という三つの領域が境界を接する部分が活動することで惹き起こされるものである。そして、その現象は広義では『自己像幻視』、つまり自分を客観的に目撃したと感じる現象の一つに分類されている」

 

つまり、体外離脱体験という現象は実際に自分の姿を見たというより、見たと「感じていた」というのが正しかったのかもしれません。脳の特定の部位が活動することで体外離脱体験が起こるという説は、脳外科医であるオラフ・ブランケ氏が脳外科手術を行った際の報告からも事実であることが分かります。

「右側頭葉と頭頂葉と後頭葉のちょうど境目の部分に電極を刺し、弱い電気刺激をしたところ、患者さんは『ベッドに沈み込む感じ』や『高所から落下する感じ』などがあるとオラフに告げた。さらに刺激を上げると『ベッドに横たわる自分を高い所から見ているが、見えるのは足と体幹下部だけ』と訴えた。手術チームは即座に『これは大変だ、この場所の刺激で体外離脱体験が起きた』と驚き確認し、そして報告した」