今話題の小児急性肝炎。拡大の原因とは?


山田 この急性肝炎ですが、現在報告されているケースが全て同じ原因なのかも分からず、原因自体もよく分かっていないということで話題になっているんです。
医師をしていると、原因がよくわからない肝炎に出会うこともありますし、原因が分からずとも肝炎が治る/悪化するケースも経験します。しかし今回のケースは、比較的同じような世代のお子さんに、似たような経過を辿っているケースがまとまって報告されていることもあり懸念されているのです。
WHOによると、これまで生後1ヵ月から16歳までの子どもに報告されていて、米国からの報告によれば診断時の年齢の中央値は2歳11ヵ月。イギリスからは、過半数が3~5歳であるとも報告されています。

 

碓氷 そうなんですね。そもそも、肝炎という病気自体について詳しく理解できていないのですが……。

山田 原因としてよく知られているのはA〜E型までの肝炎ウイルスですよね。また、普段はウイルスや細菌をやっつける自分の免疫が、誤まって肝臓を攻撃することによって肝臓が炎症を起こすという「自己免疫性肝炎」と言われる病気なども良く知られています。
ただ今回報告されているケースは私たちが知っているこれらが原因ではないようなのです。
しかも、すでに少なくとも17人のお子さんが肝臓の移植手術を受けるなど比較的重症化しているとも報告されています。また、この病気で命を落とされたお子さんが複数いるということで、世界的に懸念されています。

碓氷 それは大変ですね……。ちなみに、肝臓に炎症が起こるとどうなってしまうのでしょうか?