パリ在住のミモレブロガー大熊洋子さんが、久しぶりのディナーに着ていったコーディネートを紹介します。
考えてみたら、コロナ禍以来だったのかもしれない。かつては夜な夜な遊び歩いていた仲間達と、久しぶりにファンタスティックな夜を共にした。
発起人はサンドリーヌ。WhatsAppグループの招待状が届き、タイトルには「キャンドルを囲んでのディナー Dîner à la bougie」とあった。
彼女のバースデーが重なった週末の土曜日だったのだが、敢えて自分の誕生会と言わないところが粋である。そういう事に鋭い私は直ぐに気がつき、小さなプレゼントをいつものクラッチに忍ばせる事を忘れなかった。
集まった面子は二十人弱、後期ミモレ世代に入った彼女たちは、私のパリのお姉さんとでもいおうか。陶芸家、詩人、コメディエンヌ。見事に様々な分野のアーティストが揃った。私の隣に座った、その日初めて顔を合わせた女性は、あの刑事ドラマの女デカではないか。
人生の先輩たちの、絶対的な存在感に圧倒された。確かに皆歳をとったけれど、ローマは一日にしてならず、とでもいう様な、内から湧き上がる美しさが倍増している。きっと幸せなんだろう。人生の酸いも甘いも経験してきた彼女たちは今、シンプルでひたすら明るい。
私なんか箸にも棒にも引っかからないよなぁ。彼女たちを前にしたら、まだまだひよっこだわね。
そんな事を考えていると、デザートの到着と共に乾杯の指揮がかかった。
お誕生日おめでとう。私達の再会を祝って。健康と友情、愛。What else? 最高の仲間たちに!
隣席をも巻き込み、何度も続いたトーストの極め付けに、誰かが快哉を叫んで場を締めた。
「地上で一番美しい女性たちのディナーに乾杯! Pour le dîner des plus belles femmes sur la terre!!」
世界が、現状がどう変わろうと、この世の中には決して揺るがないものがある。この美しい情景を、いつまでも眺めていたい、と思った。
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