パリ在住のミモレブロガー大熊洋子さんが、春に履きたいオープントゥのブーティを紹介します。
そのブーツ、とっても個性的ね!
C’est très original!
意気揚々と出かけた研修先の担当者に、ガツンと出鼻をくじかれた朝。
ミモレ世代であろう彼女が使った「オリジナル」というフランス語の形容詞は独特で、「個性的」の先には大抵「奇抜」だったり「変!」というニュアンスが隠れている。
え! ソレどういう意味? 変かな?
私はコレ、すっごく気に入っているんだけれど。
つま先に穴が空いているブーツを、生まれて初めて見たの! という彼女に、『プラダを着た悪魔』の鬼編集長よろしく、熱弁を振るう自分が居た。
えっとね、このアイテムは、そもそもブーツじゃなくて「ブーティ」というの。くるぶし丈より短いブーツの総称ね。ショートブーツとパンプスのミックスと考えてみて。
で、私のブーティはオープントゥでしょ、だからサンダルの感覚で使えば良いってわけ。季節外れの初夏なんかに、どうしてもブーツをコーデしたい時なんかにもお勧めね。もう何年も前から、ルブタンやセリーヌでも出ていたかな。
このアイテムの良いところはね、なんてったってコーディネートに抜け感が出る事なの。あ、「抜け感」って分かる?
つま先が空いているから、足の指が見えるでしょ。それだけで装いに軽さが出て、全体のバランスが一気に変わるってわけ。
ボトムに合わせたリジッドデニムは、バリ堅(カタ)だから、スニーカーで合わせたとしたら断然メンズライクになる。背の低い私がやると野暮ったいのなんの。しなやかではない。
私のスタイルはね、いつもどこかにコケットがひと匙入っているの。つまり、女性らしい色気のことなんだけど。多すぎても少なすぎてもダメ。粋な塩梅じゃないとパリスタイルではないの。カーキに一番映える、チラリと見える赤は、OPIのセクシーレッド一択で。爪は短めに、やや角ばってカット。小さな面積のペディキュアが肝ね。分かるかなぁ。
ブーティのスウェードにネイルのツヤ感で、相反する二つのマチエールを共存させたのにも注目!
「パラドックス(逆説的/二面性)」はパリの代名詞でしょ。モダンとクラシック、美と醜が共存する街パリが、究極の文化を生み出してきたわけだから。考えてみたら、人間だってそうでしょ。少なくとも私は、そういう男たちを愛してきた。
スタイル、つまり「装い」には、その人の「生き方」や「思考」が透けて見える。40代の全てを、このファッションの都はパリで過ごして、私はそれを完全に自分のものにしたの。まぁ、すべては、自己満足の世界なんだけれどね。
ねぇ、どう? このブーティ、今はどういう風に見える?
目をまん丸にして聞き入っていた彼女が、最後は笑顔になって、そこまでフランスを愛してくれて有難う、と意外な言葉を返してきた。
クールだわね!
C’est cool!
そして、「クール」という、パリでは最上級の形容詞も付け加えて。
フランスという国を、フランス人を、私は愛して止まない。
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