7円が250円に! 電気の卸売り値の高騰の原因とは


堀:電気の自由化以降よく聞く「新電力」っていうのは、主に電力の小売り業者のこと。小売業者は、発電業者が市場で売りに出した電力を買ってゆきます。昨今はここでの取引価格が様々な理由から乱高下していて、昨年の冬には普段は7-8円くらいで取引されているのに、250円を超えました。これは想定より寒くなって「天然ガスの備蓄がたりなくなるんじゃないか」と心配した発電業者が、発電量を低く抑えて、市場で売られる電気が少なくなった、というのが大きな理由と言われています。今はウクライナ戦争の影響もあって、やっぱり価格が上がっています。この価格と連動して「バランシング」の罰金も高くなるので、発電計画を正確にだすのは大きな課題です。

アツミ:「バランシング」を失敗すると罰金をとられるんですか! 太陽光とか風力とかってお天気任せだから、正確に予想するのはすごい難しそうなのに。

写真/Robert Thiemann on Unsplash

堀:そうなんです。これまでの日本では「再エネ普及」のために、特例として「バランシング」を免除され、価格も固定価格だったんです。「バランシング」は買い取る大手電力会社が代わりにやってくれていたんですね。でも今年の4月からは制度が変わり、価格は市場の変動価格に一定の補助額を上乗せしたものになり、「バランシング」も自分たちでやることになりました。私の会社(Tensor Energy株式会社)では、いわゆるAIなどを使って、再エネと市場の動きを予測して「バランシング」をサポートするソフトを開発し、再エネ発電業者に提供しているんです。

 

バタ:堀さんの会社が実現しようとしていることの意味がようやくわかりました。ちなみに現時点で、日本の全発電量のうち、再エネはどのくらいの割合なんですか? やっぱり日本の「再エネ普及」は世界から遅れをとっているんでしょうか?