発電の設備の能力はトップクラス! でも広がらないのは?


堀:日本の再エネは、それほど極端に遅れてはいないんですよ。国内の発電量で再エネが占める割合は18%(2019年度)ですが、再エネの発電設備容量(発電所の最大の発電能力)で言えば世界6位、太陽光に限って言えば、中国とアメリカに次いで世界3位です。
ドイツが非常に進んでいるイメージがありますが、日本で再エネ補助政策が導入されたのは15~6年前で、ドイツより早いんです。逆に日本で2016年に始まった電力の自由化は、ヨーロッパでは1990年代に始まっていて、それを追いかけるような形で再エネが伸び、それでドイツが逆転したんですね。日本は5、6年の遅れを取りながら追いかけている感じです。

 

アツミ:そこそこ普及してきてはいる、ということなんですね。

堀:発電量自体は伸びてはいますが、日本には独特の「送配電」の問題があるんですよね。

バタ:「送配電」? 電気を送り届ける電線の問題ですか?

堀:はい。ヨーロッパの送配電網は「クモの巣状」に張り巡らされているのに対して、国土が細長い日本は「串に刺さった団子」状態と言われています。例えばドイツが「100%再エネにします、原発やめます」と言えるのは、この送配電網のおかげで、フランスの原発でできた電気を容易に買えるからなんですね。でも日本の場合は、細長い国土に9個の電力会社が並んでいて、それぞれに送配電網を管理しているし、規格も異なるんですね。

バタ:え、それどういうことでしょう?

堀:例えば東京から大阪に引っ越すと、電子レンジや洗濯機など一部の電化製品が使えなくなるって、聞いたことありませんか? あれは東京電力と関西電力の作っている電気の周波数が違うからなんです。だいたい静岡県を境界に、東日本は50Hz、西日本は60Hz。明治時代、地域ごとに電気事業が始まった時に、関東ではドイツの、関西ではアメリカの発電機をそれぞれ輸入してスタートしちゃったからなんです。

アツミ:先ほどの「バランシング」のお話で、周波数が乱れると停電するっておっしゃってましたよね。

堀:そうなんですよ。だから「関東で足りないから、関西で余ってる電気を」ということが、おいそれとはできないんですよね。これを解消する動きもあるにはあるんですが、なかなか一気には進みませんよね。