足りなくなった女性ホルモンを薬剤で補う「ホルモン補充療法」(HRT)は、閉経前後の女性ホルモンの変化による不調に対応する標準治療です。ただ、産婦人科医の吉形玲美先生によると、不調の内容は人それぞれで、不調を感じる世代にも幅があり、さらに既往症・合併症などの懸念からホルモン剤を使用できない人もいるといいます。

そうした場合に検討されるのが、古くからある漢方薬や、ホルモン剤を使用しない「エクオールサプリメント」だそう。最近目にする機会が増えた「エクオール」ですが、興味はあるけれど一体どんなものかわかっていない、という方も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、エクオールについての研究も行っている吉形先生の著書『40代から始めよう! 閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』から、エクオールとその効果について教えてもらいます!

 

「何もしないとリスク上昇! 閉経後の「骨粗しょう症」を防ぐ、40代から始める「骨強度マネジメント」」>>


HRT代替療法の代表格、エクオール


ホルモン補充療法に代わる治療法(HRT代替療法)は、とくに欧米で広く浸透しており、近年はわが国でも広がりつつあります。なかでも「エクオール」は、更年期症状対策のサプリメントとして臨床応用もされているものです。症状や体調によっては、ホルモン補充療法よりもエクオールのほうが「合う」場合も多々あります。

<エクオールの効果が期待される人>
■年齢:40歳以上
■適性:定期的な通院が難しくセルフメディケーションで対処したい人。薬剤の副作用が心配な人
■おもな症状:冷え、不眠、不安、憂うつ、神経質、疲労感、物忘れなどの症状がある/精神的な不調、漠然とした不調が強いほか、手指など小さな関節に痛みがある など

 


植物由来のホルモンが働く理由

 

エクオールとは大豆食品に含まれる「イソフラボン」が腸内細菌の働きにより代謝(体内で新しい物質に変わること)されて生まれる物質のことです。腸から血液中に吸収され全身に行きわたります。女性ホルモンの減少に対してエクオールが有効に働くのは、その構造式がエストロゲンのそれとよく似ているためです。大豆由来でありながらエストロゲンと同じような働きをすることから、「植物性エストロゲン」とも呼ばれます。

筆者の経験では、エクオールがHRTより有効に働く場合は多々あります。とくに軽めの症状が複数ある患者さんに摂取してもらうと、より症状の改善に貢献してくれる傾向にあります。