デジタルスクリーン症候群は長い時間を経て発症することも


ダンクリー博士は、デジタルスクリーンに接する時間、いわゆる「スクリーンタイム」は、気分、不安、認知、行動に関連するさまざまなメンタルヘルスの症状を引き起こすと主張しています。デジタル機器に起因する症状をまとめて「デジタルスクリーン症候群(ESS)」と名づけた博士は、その仕組みをこのように説明しました。

デジタルスクリーン症候群は本質的には『調節不全のひとつ』である。双方向(スマホやPCのように常に操作するタイプ)のデジタル機器は非常に刺激的であるため、神経系を『戦うか逃げるか』モードに移行させ、さまざまな生物学的システムの調節不全や混乱を引き起こす。このストレス反応は、ゲームをしているときのように、すぐにはっきりと現れることもあれば、スクリーンを繰り返し見ているうちに、徐々に現れてくることもある。メールやSNSの頻繁な利用など、スクリーン上のやり取りを繰り返すことで徐々に生じてくる場合もある。あるいは、ストレス反応が遅れて発生し、うまく対処しているようで水面下でじわじわと醸成され、何年ものスクリーンタイムが蓄積して一気に『症状として』噴出することもある」

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現代のデジタル機器は、もはや「ドラッグ」


水面下で醸成されているとしたら、その深刻度はなかなか自覚できませんよね。ダンクリー博士は、そんなデジタルスクリーン症候群の恐ろしさをこのように表現しました。

 

この症候群を考えるひとつの方法は、デジタル機器をカフェイン、アンフェタミン、コカインなどの『ドラッグ(覚醒剤)』と見なすことだ。スクリーン機器を使うと、身体が高揚して集中力が高まり、その後に『クラッシュ』が起こる。このような神経系への過剰な刺激は、他の覚せい剤と同様、睡眠障害など身体にさまざまな影響を及ぼす可能性がある。また、薬物を使用すると、体内から薬物の痕跡が消えたあとも使用者に影響を与えることがあるように、デジタル機器を使用すると、その後も長く中枢神経系に影響を与えることがある。さらに薬物使用と同様に、ただちに機能が低下するとは限らず、場合によっては、最初は改善しても、その後、悪化することもある」

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スクリーンタイムの影響と症状が出る仕組み
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