ケアプランはすべての介護保険利用者が必要な介護計画


ケアプランとは、介護保険サービスをどのように利用するかを決める介護計画書のこと。冒頭でも説明しましたが、一般的にはケアマネージャーが作成し、どのような介護サービスを受ければ質が高く自立した生活が送れるようになるかを考えながら、さまざまな介護サービスを組み合わせていきます。

ケアプランは対象者とサービス内容によって名称が異なり、以下の3種類に分けられます。

親の介護度進行を左右するって本当?700万人の高齢者が介護に使う「ケアプラン」とは_img1
 

 

 

ケアプランの変更を求めた方が良いケース


介護とひと言で言っても置かれた状況は人それぞれで、同じ1人の人でも刻々と状況は変わります。そのため、ケアプランは一度決めたらずっと同じというわけではありません。目安としては、月1回の頻度でケアマネージャーと面談を行う中で、ケアプランの見直しをするのが理想です。

ですが無頓着でいると、同じ条件で更新し続けてしまうことが多々あります。親の状態や生活環境、介護する側の負担が変わった場合は、家族側からもケアプランの変更を求めることができるので、「ケアプランは変えるもの」と思っておいてください。

親の介護度進行を左右するって本当?700万人の高齢者が介護に使う「ケアプラン」とは_img2
 

このような場合は、介護サービスの種類や回数を変更することができます。むしろケアプランを変えていかないと、弱る必要のなかった部分が衰えてしまうなど、親の介護度を進めかねません。

介護サービスは、過剰でも過少でも適切ではありません。ケアプランは、どのような暮らしを望んでいるのか希望を伝え、専門家の助言を受けた上で完成するのが好ましいですが、実際にはすべてケアマネにお任せ、親の意欲は無視で、周りが困っていることだけに目を向けてしまうこともよくあります。

親にせっかく意欲があったのに、周囲が事故のリスクを優先してケアプランをきっちり守って接したため、残念な結果になってしまった以下のようなケースもありました。

ケアプランに「散歩時は車椅子による介助を希望」と記載されていたため、担当のヘルパーは「散歩は気晴らしのために希望しているもので、行く際はとにかく転倒の危険を避けなければ」と考えていた。親自身は誰かがそばにいてくれれば杖歩行で散歩に行きたかったが、「転んでケガでもしたら大変」と言われて車椅子に乗り続けることに。そのせいか、家の中でも1人で歩くのが怖くなってしまった。

ケアプラン作成の流れ


介護サービスを利用するには、①住んでいる自治体(市区町村)の介護保険窓口へ行って介護保険認定のための手続きを行う、②要介護認定を受ける、③ケアプランの作成、という流れになりますが、ケアプランを作成する際は、ケアマネ、利用者本人、家族、介護サービス提供事業者の担当者などの関係者を交えて、原案をもとに協議を行います。これは利用者や家族の状況・課題を共通認識し、設定している目標や介護方針・計画を共有するためのもので、サービス担当者会議と言います。

本人や家族、関係者から意見を聞いてプランの内容に問題がないかを精査する場なので、今回の相談者・美穂さんのように専門家が言うことだからと任せっきりにせず、親の意欲や自分の希望なども伝えつつ調整してください。それが悔いのない介護にもつながります。

ケアプランは無料なの?


ケアマネージャーがケアプランを作成する料金は、現時点では国から給付されています。要介護度1・2では10530円、要介護度3・4・5では13680円、その他の条件によりプラスαが国から支払われているのです。ですが今、「財源確保のために利用者負担を導入すべき」との声が上がっています。2024年度の介護報酬改定に合わせ、ひと月1000~1500円程度のケアプラン有料化が実現してしまうかもしれません。

益々かさむ月々の介護費用ですが、実はケアプランは自分でも作成可能です。ただし、自治体の担当者との打ち合わせや介護事業所への申し込みなど、負担が多く普及はしていません。今後ご自身での作成を検討したいと思った方は、早めにケアプランに関する情報収集を行って準備をしておくことも必要となります。

 

3種類のケアプランとケアプランの変更を求めた方が良いケースについてはこちら
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写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
編集/佐野倫子

 

 

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