漢方薬を服用する前に気をつけたいこと【医師の解説】


それは、漢方薬を服用する前に、「症状を起こしている原因は何か」を特定する努力をすることです。
漢方薬は、症状からのアプローチで処方されることが多いのですが、仮に原因を特定しないまま漢方薬を飲み続けてしまった場合、どうなるでしょうか?

考えられるケースとしては、症状は少し改善したけれど、根本的な原因が解決されないままずっと継続してしまうケース。さらに、副作用で体調を壊してしまった……ということになれば、害ばかりの結果を招くこともあり得ます。本当に極端な例を挙げれば、漢方薬の副作用で命を落とされる方もいます。

 

もちろん、そうした重い副作用が出るリスクは稀ですし、特定の生薬に限った話です。
しかし、漢方薬であれサプリメントであれ、常に「益」と「害」の天秤を持って、何かに傾倒しすぎる状態は避けていただきたいと思います。
繰り返しになりますが、やはり一番大切なのは、「症状を起こしている原因は何か」を特定する努力をすることです。
その病気の原因が特定され、根本的な治療法があれば、その治療でこそ症状は解決する可能性が高く、逆に言えば、その治療をしない限り解決には至らない可能性が高くなってしまいます。

もちろん、検査をしても原因がなかなか明らかにならないということもあります。また、どんな状況においても、症状を抑えるということが大切な医療の一部であることも間違いはありません。
漢方薬は、きちんとしたポジションを確立した治療法ですし、今回の解説は、漢方薬の服用を否定するものではありません。
ただし、漢方薬を使う上では、「益と害の天秤」「その症状はどこから来ているのか」を特定するアプローチを忘れないことが、大切な視点なのではないでしょうか。

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写真/shutterstock
構成/新里百合子
 

 


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