【100冊を集めてわかった本当に大切なルール:その2】
「ごほうび」でドーパミンを活性化する

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ごほうび(報酬)を受け取ったときの「嬉しい!」という気持ちが、勉強の原動力につながります。100冊中31冊に「ごほうびが、学習効果を高める」と示されていました。

「私はご褒美を悪いことだとは思いません。子供に勉強させるときも、自分で勉強するときも、ご褒美はきわめて有効で、かえって学習効果をアップさせるものだと考えています」
――荘司雅彦『最短で結果が出る超勉強法』/講談社

脳には、「嬉しいこと、気持ちいいことは続けたくなる」という性質があります。勉強の成果に対してごほうびを設定すると、「努力する→できなかったことができるようになる→ごほうびがもらえる→嬉しい(達成感)→さらに勉強したくなる」といった好循環が生まれます。なお、ごほうびには「目に見えるもの」と、「目に見えないもの」の2種類があります。

● 目に見えるごほうび
飲食、品物、旅行、賞状、報奨金(お金)など。

● 目に見えないごほうび
達成感、「ほめられると嬉しい」といった感情的な喜び。ごほうびを受け取る(自分で自分にごほうびを与える、子どもにごほうびを与える)タイミングは、結果が出た「あと」です。「ごほうびをもらったときの喜びを想像する」ことで、やる気が生まれます。

 

勉強の意欲を高めるには「ドーパミン」の力を借りよう


脳には、「報酬系」と呼ばれる神経系があります。報酬系とは、欲求が満たされたとき、あるいは満たされるとわかったときに、「嬉しい」「楽しい」という幸福感をもたらす脳内システムのことです。人は、「誰かにほめられたとき」「目標を達成したとき」「できなかったことができるようになったとき」「おいしいものを食べたり飲んだりしたとき」「ほしかったものが手に入ったとき」に、「心地良さ」を覚えます。この心地良さを生み出しているのが、「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質です。

「脳の『報酬系』は驚くほど強力なシステムで、いうなれば私たちを、ある種の行動へと駆り立てる動力源だ。(略)ドーパミンがたっぷり放出されるとポジティブな気分になり、その行動を繰り返したくなる。脳が、また同じことをしろと催促するのだ」
――アンダース・ハンセン『一流の頭脳』/サンマーク出版

「心地良い」「気持ちいい」「嬉しい」といった感覚が生じているとき、脳内で報酬系の神経が活性化して、ドーパミンが大量に分泌されています。ドーパミンを分泌させる方法のひとつが、「ごほうびの設定」です。ドーパミンは、「報酬を期待しているとき」「欲求が満たされるとわかったとき」にも分泌されます。「この勉強が終わったら、ドラマを見よう」「試験に合格したら旅行をしよう」とごほうびを設定すると、期待感からドーパミンが増え、勉強の意欲が高くなります。