2022年、北朝鮮の弾道ミサイルの発射数が過去最高となっています。日本では2017年以来となるJアラート(全国瞬時警報システム)が10月4日に、さらには11月3日にも発令されて、列島に緊張が走りました。いつ、どこに発射されるかわからない弾道ミサイル。その脅威と日々隣り合わせの生活にもかかわらず、「Jアラートが発令されたら何をするべきか」の判断がつかない方も多いかもしれません。

「弾道ミサイル」が飛んできたらどうすべき? 相次ぐミサイル発射、Jアラート発令に本気で考える「身の守り方」_img0
写真:Shutterstock

そこで今回は、陸上自衛隊へのロープレスキュー及び戦闘技術指導を行うS&T OUTCOMESと、危機管理リーダー教育協会代表の川口 拓さんの共著『民間人のための戦場行動マニュアル:もしも戦争に巻き込まれたらこうやって生きのびる』より、「弾道ミサイルが飛んできたときに取るべき行動」をご紹介します。

本書によると弾道ミサイルとは、「大気圏外にまで上がるような弾道を描くことにより長距離を攻撃できるようにしたミサイルのこと」で、その射程距離は長いものだと1万kmにも及ぶといいます。1万kmというと、ほとんどの大陸から大陸への攻撃が可能になる距離。射程が長いというだけでなく、核兵器や化学兵器、生物兵器といった大量破壊兵器を搭載できるのも弾道ミサイルの恐ろしさだと指摘します。

 

高層ビルは「いてはいけない」危険な場所

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そんな弾道ミサイルを実際に使用すれば、当然ながら報復の危険性もあるため、前提として「攻撃するための兵器というより、戦略的、つまり威嚇のためという意味合いのほうが強いといっていいだろう」と本書では解説。とはいえ、昨今の世界情勢を考慮すれば、避難シミュレーションをしておくことの意義は十二分すぎるほどあるでしょう。万が一どこかの国と開戦になり「弾道ミサイル」が発射された場合、ターゲットになりやすいのは次のような場所だといいます。

・敵国にとって脅威となりうる軍事施設
・電力などのインフラ施設
・多くの人が集まる都市部

中でも多くの人が集まる都市部においては、「ガラス張りのビルが並んでいるような場所には絶対にいてはいけない」と警告。ビル倒壊の危険性はもとより、爆風でガラスが割れて降ってくるリスクが高く、ビル上層階も爆風を直接浴びるため極めて危険だからです。

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警報によってミサイルが落ちてくる危険を知ったら、ビル上層階にいる場合は階段を使ってビルの降りられるところまで下りて避難する、ビルの谷間にいる場合はその場を即座に離れることが肝要。建物の中では窓から離れ、できるだけ低い姿勢をとることが大切です。

隣接する近い国から弾道ミサイルが発射されれば、国内に到達するまではわずか10分ほど。さらに発射してから警報が鳴るまでに数分かかるため、「実際に行動できる時間はせいぜい5分程度と思っておこう」と本書。たった5分であっても、その間に少しでも安全なところに避難することを考えましょう。
 

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弾道ミサイルの着弾に備える「身を守る姿勢」
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【画像1つめ:正しい伏せ方】ミサイルに直撃されたら死ぬかもしれないが、それでも生き残ることを考える。室内にいたら、窓に足を向けて姿勢を低くする。
【画像2つめ:衝撃波による眼球突出、鼓膜破裂を防ぐ】着弾の衝撃波による被害は、鼓膜が破れる、あるいは眼球が飛び出るといったことが考えられる。これを防ぐために、耳を塞ぎ、目をつぶるか手で押さえておく。「こういった身を守る姿勢はとっさにできるものではないので、家族でこの姿勢をとる訓練をしておくべき」と本書は伝える。