パリ在住のミモレブロガー大熊洋子さんが、お気に入りのブランドのアウターを着た冬のコーディネートを紹介します。

雨上がりのパリの夜。しっとり濡れた石畳みを、オレンジがかった街頭が妖艶に照らすのを久しぶりに見た。ここ、コメディフランセーズ(フランスの国立劇場)に隣接するカフェ ル ヌムールは私の大好きな場所。モリエールやマリヴォーに夢中になった学生時代、芝居がはねた後、華やかに装った人たちがテラスに陣取るのを、少し離れた席からよく眺めたものだ。

パリのカフェテラスはオーケストラシート。道ゆく人々は誰もが自分だけの物語を胸に秘めたドラマチックな人生の主人公。街全体が劇場のように感じる。

この日の装いは、マニッシュなパンツスタイル。気のおけない男友達とのカジュアルな食事のシーンだからか、迷わずシャツとパンツに手が伸びた。アウターはベルギー発祥のベルローズ(Bellerose)。日本では無名のブランドだけれど、パリには何店舗もあり、とても人気がある。

 

ショート丈のムートンは、ノーカラーで七分袖。裏返すとボアジャケットとしても着用できるおまけ付き。手首の出るデザインは、抜け感と女性らしさがプラスされるのが好き。こういうアウターは手袋で遊ぶべし。この日はメゾンファーブルのブルーのグローヴをポイントに(写真では外していました。ごめんなさい!) 中に仕込んだダンガリーシャツとワイドパンツでデニム・オン・デニムのコーディネート。ラフなセットアップ感覚で、簡単にスタイルが決まるのが良い。

第一ボタンまでしっかり閉めて、襟はピンと立てるのがこの日の気分。ノーカラーのアウターは、カーディガン感覚で気軽にはおって。もっと寒くなったら、タートルネックセーターで合わせよう。

どのアイテムもベーシックな、Hirokoさんのコーデでは常套句の「随分と前に買ったもの」だけれど、着てみて感じるクリエイターのこだわりがなかなか私を飽きさせない。言ってみれば友人たちとの関係とも似ている。飽きもせず、昼食から看板まで同じカフェの同じ席で延々と話をしていた。予定していた美術館とクリスマスのショッピングは次回に延期だね。顔見知りのウェイターに追い出され外に出るまで、私たちは雨が降ったのを知らなかった。


構成/幸山梨奈
 

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