何のために働くのか? 働いてどうなりたいのか?


そうして「仕事はほどほどにして、家庭を優先したい」となったとき、男女平等社会はそれを許してくれない可能性もあります。「そのことに薄々勘づいている人もいるのでは?」と、ひろゆきさんは指摘します。

ひろゆき:僕の両親は、父は公務員で夜遅くまで働き、母はたまにパートをしてちょっと稼ぐ、という感じでした。子供心には、どう見ても母のほうがラクそうで長生きもするだろうな、と映っていた。でも職場の不平等を改善してフランスのようになると、ダラダラ働きたい女性にとっては厳しいものも出てきます。そこへの躊躇が、何十年経っても変わらない投票結果に現れているんじゃないでしょうか。だって自民党は、男性価値観の強い保守的な党ですよね。その党が相変わらず強いというのは、現状維持のほうがラクな面もあると知っているからじゃないでしょうか。

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女性が働きにくい環境のままでいい、ということはもちろん絶対にありません。ですが私たちは、本当の意味で女性が働きやすい環境とはどういうものか、もっと掘り下げて考えてみる必要はあるでしょう。でなければ、どう改善すればいいのかも分からないから。

――そのためにはまず、「何のために働くのか」「働いた結果、どうなりたいのか」ということを、考えてみる必要があるとおっしゃるわけですね。

ひろゆき:おそらくフランス人は、「何のために働くか」と聞かれたら、7割ぐらいの人が「ヴァカンスのため」と答えるはずです。まとまった期間、違う土地に行って心の底からリラックスする。そういう豊かな時間を持つためにお金を稼いでいる、と言い切ると思います。そうではなくても、ほとんどの人が「夢のため」とか「〇〇に貢献したい」とか、ハッキリと働く理由を答えられるはず。「〇〇のため」がなく、働くことが目的化しているのは日本ぐらい。だから“Karoshi”なんて言葉がそのまま英語になってしまっているわけです。