浮気相手との直接対決……次々と明らかになる衝撃の事実


「その日は大阪に仕事に行くと嘘をついて、彼を泳がせていました。AさんがSNSに載せたショート動画に、リアルタイムのテレビ番組が背景に映った状態で、私が彼にプレゼントした有田焼のお皿に載った焼き鳥が出たんです。今、2人で過ごしている。私は現場に急行しました。

インターホンを押しましたが、当然のごとく出ません。そこで敢えてAさんのSNS経由のダイレクトメッセージで、『雅弘さんと一緒ですね? 今、エントランスに居ます。合鍵を持っています。時間のムダですから中に入れてください』と送りました。するとすぐに返信があり、『開けます』と。本当に解錠され、震える足に力を入れながら部屋に行きました」

出てきたのは、部屋着にノーメイク、リラックスモードのAさん。しかしそれでも素人離れした美人で、千佳さんは思わず身構えます。しかも予想外に「どうぞ~」と手招き。その後ろで、雅弘さんが顔面蒼白で棒立ちになっていたと言います。

はらわたが煮えくり返っているのを隠し、ひとまずリビングに移動。千佳さんが雅弘さんの向かいに座ると、Aさんも千佳さんの隣に座ったそう。気まずいことこの上ない3者会談です。

「Aさん、ですよね。私の存在、ご存知でしたか?」

「いいえ、すみません」

「この人の婚約者です。結婚するんです、私たち」

千佳さんが無言の雅弘さんに痺れを切らして口火を切ると、Aさんは小首をかしげながら衝撃のセリフを口にします。

「私もです」

絶句する千佳さんに、Aさんは「5年前から事実婚状態ですが、来月入籍予定です」と告げました。差し出したスマホには、両家のご両親と、雅弘さん、A子さんの会食写真が。

その時点で、雅弘さんはなぜかダッシュでトイレに閉じこもり、籠城。取り残された千佳さんとAさんは、仕方なく、お互いの「答え合わせ」を始めました。Aさんは、拍子抜けするほどおっとりした女性で、それまで何回か雅弘さんの浮気を許してきたけれど、さすがにもう1人「婚約者」がいるとは思わなかった、とつぶやいたそうです。

ヨーロッパ旅行も、出張だときいていた。年末年始はお互いの実家と言われていたから疑っていなかった、副業のタレント活動があってスケジュールが不規則なため、お互いに自由なペースで別居婚をしていた。30歳の誕生日に入籍することになっているけれど、あなたに彼がしていたことを聞くと、結婚できない……。

 

1時間、お互いが雅弘さんに言われた言葉や状況を吐露し、最後は2人で泣いてしまったそう。

 

「この家はスタジオになったから、泊まれない日もある、君の家とこの家、2人で行き来しよう、などと言われて、のんびりしているAさんはまったく疑わなかったというのです。一体彼は何がしたいのか。まだ提出していないとはいえ、私も記入済みの婚姻届を持っていたのに。ひょっとして意図的に不備があるものだったのかもしれません。おそらく彼は、私たちのように騙しやすいタイプの子を狙うんでしょう。

そしてAさんの話と私の状況を比べると、どうやら彼はAさんと入籍しようと決めていたようです。そう、浮気相手は私だったんです。ショックでますます涙があふれました。Aさんも同情して泣いてくれて、大丈夫、私も入籍はやめるから、2人ともあの人とは縁を切ろう、と言ってくれました」

2人が出て行く支度をしていると、察したのか1時間半ぶりに雅弘さんがトイレから出てきて、まず彼から見て手前にいるAさんに「誤解なんだ、Aが大事だ」と言いました。ショックで言葉を失う千佳さん。しかしAさんは、大きく一歩下がって、千佳さんと肩を並べてくれたと言います。

マンションからの帰り道、Aさんととぼとぼと駅に向かう途中、彼女が驚くべき提案をしてきました。