家では超雑かもしれない、そうあってほしい


編集部 お2人が羽生選手の所作について語ってらっしゃるのがとても印象的ですね。羽生選手って、普段から身のこなしが優雅なのが想像できるというか。

Vanessa ただ、逆もあるのかなあって。表舞台に立っている友だちがそうなんです。家から一歩出ると“その職業”になるので、逆に家だと超雑なのかも? とか。羽生くん、すごくノートに書き込む人なんですよね。想像ですけど、大衆が思う羽生結弦はペンをそっと置くと思うんです。でもじつは、こう(ぺっと転がす)やって「ハッ、疲れたぁ~!」みたいな感じかな、と勝手に想像したりします。

ヒオカ あぁ~なるほど!

Vanessa むしろそうあってほしい。表舞台ですごく背負ってるものも大きいから。だから、時々出る年齢相応の言葉や仕草を見ると安心するんですよ。

 

編集部 まだお若いですもんね。

Vanessa といいつつ、羽生くんも28歳になりましたね。

ヒオカ Vanessaさんが26歳、私が27歳、羽生くんが28歳! まあ、そこらへんはまとめて「羽生世代」ということで(笑)。もう、前後5歳くらいは羽生世代と呼びたいくらいです。というか、羽生くんと同じ時代を生きてる時点で人類皆、羽生世代かもしれない……。

「後ろでめっちゃ真剣な打ち合わせしてますね」と周囲の状況を確認してから、「SEIMEI」ポーズをキメる2人。


プロ転向後に感じた「この人に限界はない」


ヒオカ フィギュアが羽生くんに追いついていないというか、世界が羽生くんに追いついてないと感じるんです。羽生くんの演技って、もうこの世の尺度では測れないと思うんです。これからも世界最高得点を取る選手は出てくるとは思うんですけど、「羽生結弦」に代わる存在は未来永劫出てこないなと。もう、採点が羽生くんに追いついていないんですよね。羽生くんがフィギュアを追い越してしまったというか。だからプロっていう、アスリート性と芸術性を追求できる世界に行かれたのかなあって。

Vanessa フィギュアって毎年のようにルールが変わるじゃないですか。一番上の人が有利にならないように。でも、羽生くんは点数を取ること、表彰台に上がり続けること、いい成績を収めることでみんなを喜ばせたいし、得られるものがあるから、勝つことや上手くなることが使命だと思って、現役で4回転半に挑み続けてきたと思うんです。でもやっぱり、あまりにも制度が追いついていないというか。そうなると、試合に寄り添ってきた羽生くんの精神力が心配で。

 

応援する側としては、羽生くんに結果を出してほしいのは、羽生くん自身がそれで喜ぶと思うから。前提には、「羽生くんの気持ち」があるんです。ただ、羽生くん側にすれば、みんなに喜んでほしくて頑張ってきたのかなって。そう考えると、耐えに耐えてきた部分もあると思うんです。

でも、ファンとしては、羽生くんには好きなようにしてほしいし、自分の目指すところに行ってほしい。身体を壊さない程度に。だから、プロに転向したら、ルールという制限はなくなるし、幅は広がるし、「プロ転向、そうだよね!!!」って。

編集部 ではお2人とも、プロ転向には納得するものがあったんでしょうか。

リボンを使ったヘアアレンジが得意なヒオカさん。「今日のリボンは光沢のある白×水色で、羽生くんをイメージした素材と色を選びました」とのこと! 推し語りも熱が入ります。

ヒオカ 私は、じつは最初はすごく不安で。他の選手がプロになると、現役選手より露出が減ってしまうのを見てきていたので。もちろん、それぞれの道でご活躍されてるので、ご本人が幸せであればそれが一番なんですけれど、目にする機会が減るのは寂しいし、耐えられるのかな? って。でも羽生くんはむしろ注目度が高まってて、この人に限界はないんだなと。

それに、羽生くんはどんどん上手くなってますよね。2021年の全日本選手権のロンカプ(羽生選手のショートプログラム「ロンド・カプリチオーソ」)とか、恐ろしさを感じるほどでしたし。そういう様子を見て、推しの引退に耐えられるか? という不安は吹き飛んで、超楽しみになりました。でも。アイスショーのチケット抽選全落ちは誤算……。次の東京ドームにも落ちたら、普通でいられる気がしません。