案の定、シャンシャンロスに……「香香 熊猫」で検索し、現地情報を調べる日々


グッズ売り場ではシャンシャンがプリントされたブランケットやクッション、ぬいぐるみなどシャンシャングッズがアイドルの物販並に展開。1レシート3000円以上購入すると、シャンシャンステッカーがもらえるそうです。ファン心理を押さえた絶妙な価格設定です。園内にはパンダの歴史の展示や、シャンシャンへのメッセージボードもありました。

 

上野動物園のパンダは1972年、日中国交正常化を記念して、オスのカンカンとメスのランランが来園したのがはじまり。空前のパンダブームが巻き起こりました。その次にやってきたオスのフェイフェイとメスのホアンホアンで人工授精に挑戦、トントン(メス)とユウユウ(オス)が生まれました。そして2011年に来園したリーリーとシンシンの自然交配による子どもが、2017年に生まれたシャンシャンと、双子のシャオシャオ(オス)とレイレイ(メス)になります。

 

返還で、シャンシャンは一時的に家族と引き離されてしまうのが心配です。また、今までお姫様扱いされていたシャンシャンが、たくさんのパンダと共同生活を送ることになって、「えっ個室じゃないの?」とか変化に戸惑わないかも気がかりです。でもそれは人間の勝手な思い入れで、シャンシャンは動物として、「やっとメンズと会える〜」「中国の笹おいしいかな」と無邪気に思っているのかもしれません。

 

「シャンシャンへのメッセージ」を書けるコーナーには、びっしりとシールが貼られていました。「ありがとう」「大好きだよ」「シャンシャンに会えて、幸せだった」「中国で会おうね」「たくさんの幸せをありがとう!」「中国に行っても日本のことを忘れないで」「また日本に帰ってきてネ」「どこに行っても大好きです!」という心のこもった手書きメッセージが並んでいて胸が熱くなります。

 

シャンシャンロスの予感を覚えながら、中国返還の日、ニュースで上野動物園まで見送りに行った人の「シャンシャーン!!」という悲痛な叫び声や、飛び立つ飛行機を泣きながら見つめる人々の映像に感情移入して、涙。それから「香香 熊猫」で検索し、現地情報を調べる日々です。もしかしたらシャンシャンは、こんなファンの思いが重かったのかもしれない……。常に見られる生活にそろそろ疲れていたのかもしれません。

ネットに、シャンシャンのウンチがなかなか切れなくて「がんばれ!」と声援を送ったというコメントがあって、人間に置き換えるとかなりの羞恥プレイだと感じました。食事だけでなく排泄まで観賞されるアイドル。いつまでも動物園でかわいさを振りまいてほしいというのは人間としての勝手な願望だったかもしれません。シャンシャンにはパンダとしての幸せがあるはず……。

イラスト/辛酸なめ子

シャンシャンへの思いをなんとか断ち切って、シャンシャンがパンダのメンズに囲まれ、モテモテで楽しく暮らしている、そんな明るいイメージを思い描いていきたいです。

(次回、ベースメイクを刷新!)

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構成/露木桃子
 

 

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