粘土質の土壌で育ち、夏はシャキシャキ、冬はもっちりとした食感が特徴の白石レンコン。はじめていただいた時は、関東で食べるレンコンとは食感も甘さも違うので驚きました。今回はホクホクに火入したものと、シャキシャキ感を活かしスライスしたものを合わせていました。佐々木さんのヨーギー燻製(ヨーグルトのようなもので、少し甘みと塩味、どぶ酢の酸味があります。)で和え、口の中に燻し香とシナモンの香りがほのかに広がる一品です。

 

ペアリングは、微発砲でクリーミーで優しい飲み口のどぶろく速醸生。速醸酛と言われる現代の酒造技術で醸したどぶろくです。ソースの酸味や塩味と柔らかい口当たりのどぶろくの相性が抜群でした。

 
 

次は2人の共作メニュー。中里太郎右衛門窯のお皿に盛られているのは、有明海産くちぞこ(舌平目)。鰹のハラワタを塩漬けにしたものに漬け込んでから煮付けています。中里太郎右衛門陶房の皿が、ソースの色と絶妙に合っています。

こちらに合わせたのは、原材料として加えられる米糠を稲藁で焙ってから使用した、スモーキーで甘さ控えめで酸味もしっかりとあるドライな味わいの「権化PEAT」。大越さんがおっしゃるには、「どぶろくのニュータイプではなく、どのカテゴリーにも属さない新しいジャンルのお酒」だそうです。どぶろく初心者の私には、全くわからないのですが、とにかく文句なしに美味しかったです。

 
 

コースの締めに提供されたのは、とおの屋 要特製の納豆を使ったチーズケーキ風と干し柿&酒粕のジェラート。どちらも甘さも絶妙で癖もなく、しっとりと食べやすく、ほっこり落ち着くおいしさに仕上がっていました。

 

この日のドリンクペアリング、アルコールありバージョンの全貌です。佐々木さんの作るあまりにフルーティでエレガントなどぶろくにすっかり魅了されてしまいました。もちろん、他では味わえないスペシャルなノンアルコールペアリングもあるので、お酒が飲めない人も十二分に楽しめます。

大越ソムリエは、「これだけのポテンシャルのある料理には、世界中のドリンクに視野を広げないとペアリングはできない。」とおっしゃっていましたが、まさにそう。さまざまな国のワインやどぶろくが、楽しみが倍々に増える時間に昇華させてくれていました。

回を重ねるごとに成長を続ける「USEUM SAGA」は、佐賀の豊かな土地と、器文化と歴史の奥深さを楽しめるだけでなく、高いポテンシャルを持つ人たちが、このイベントを通じて未来へ大きく広がり、新しい可能性へと繋がっていくきっかけを作っています。数年後には、遠くからわざわざ訪れたくなるレストランが増えているのではないでしょうか。

この取り組みをお手本に、様々な地域でこういった愛に溢れる本質的な取り組みが増えたらいいな、と思うのでした。

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美術館レベルの美しい器と佐賀の美食
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写真・文/行方ひさこ


前回記事「まだ何も買ってない。ということは...まだ、部屋には何もない!」はこちら>>

 
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