パリ在住のミモレブロガーの大熊洋子さんが南仏で行われる結婚式に着ていくオケージョンスタイルを紹介します。
友人が「六月の花嫁」になるという。私より少しお姉さんのミモレ世代、生粋のパリジェンヌ・クリスチーヌは元ファッションモデル。パリの独身生活を謳歌していたように見えていたのだが、コロナ渦にあっさりと南仏に移住してそれっきり。久しぶりのお便りがジューンブライドの招待状だったから、私の胸は高鳴った。
さて何を着て行こう。初夏の南仏。光に満ちた美しい街でおこなわれるセレモニー。そう考えたら、その場所にふさわしい明るい色の服を身につけたいな、と思った。いや、ただの「明るい色」ではダメだ。印象派の絵画のようであり、フィレンツェのマーブル紙のような、世にも素敵なパターンであつらえた「あの服」でなければ嫌なのだ!
ピンポイントで脳裏に浮かんだのは、大好きなパリブランド、メドモワゼルのコンビネゾンだ。随分と前から目をつけていて、悩ましく指をくわえて眺めていたのだが、これで手に入れる口実が出来た。店頭にはもうストックがなく、オンラインショッピングを勧められて、辛うじて自分のサイズを見つけた時にはホッとした。数日後には自宅に届いたボックスを開けると、ふんわりと良い香りがした。身につけると、思ったとおり、いや、それ以上に良く似合う。まるで私のために、南仏でのマリアージュのためにデザインされたのではないだろうか、なんてバカな妄想まで浮かんでくる。
箱の中には、共布のロングスカーフが入っていた。ショー用に作った非売品を、ノベルティとして古参の客にプレゼントすることはよくあるが、まさか自分に! まぁ、四月には誕生日もあったし、思わぬ大怪我もあったから、今のうちにたくさん甘やかしてもらおう。
スカーフをそっと肩にかけると、いい塩梅に肌が隠れて、コンビネゾンがセットアップのように見えた。そうだ、こんな感じで教会の中では肌見せを控えるのに丁度いい。それから陽が落ちて気温が下がってからの寒さよけにもね。
華やかなパーティに大きなバッグは野暮というもの。手に収まるくらいのごくごく小さなクラッチが良い。随分前にアンティークマーケットで見つけた三十年代のがま口はセルロイド製。ぶっちゃけ何も入らないのが粋だと思う。スマホやお財布は同行の殿方に押し付けて、私は何も持たずに出かければいいや。
六月の花嫁に幸せを分けてもらうのだ。ダンスで鍛えた瞬発力で、ブーケトスは楽勝間違いなし。準備万端のHirokoさん、あとはエスコートのグッドルッキングガイを早く探さないと!
構成/幸山梨奈
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