大切なのは、家族に完璧さや理想を求めすぎないこと


――ドラマの中で娘の七実の進路を案じる場面もありました。お子さんが11歳ということは、これから将来がどんどん気になってくると思います。親として、どんなスタンスで寄り添っていきたいと考えていますか。

それこそ将来なんてものは親が思うようにはいかないんだろうなって最近すごく感じているので、人として大切にしてほしいことはしつこく伝えていますけど、あとはもう本人次第。本人がやりたいことが見つかったときにちゃんとサポートできればいいのかなと今は考えています。

――難しいですよね。なるべく転ばないように安全な道を敷いてあげたくなるのが親心。どう適切な距離感を持って見守ってあげるべきなんだろうって。

そうなんですよ。やっぱり失敗はしてほしくないですし。だけど、どんどん失敗させたほうが、その失敗は本人の宝物になるはずだからと思っています。でも、我が子はとてもマイペースで、「あれ? この子、痛い目に遭ってもわからないタイプなのかな」と思うときもありますし(笑)。簡単でないからこそ面白いのかもしれませんね、子育てって。

 

――特にこれから始まる10代は、人格形成においてもすごく影響の大きい時期ですもんね。

もう今は絶賛生意気盛りなので(笑)。少し前までは娘と「いつかあなたも反抗期になるのかしら」「絶対ならないよ」って笑って話していたんですけど、確実になってますね(笑)。本当に生意気になってきたなと感じるときもあれば、お母さん大好き〜というときもあって、ここからどうなっていくのかは私も模索しているところです。

 

――娘さんからダメ出しされることもあるんですか。

されますよ〜! しかも、普段私が娘に注意してるときの口調で言ってくるんです(笑)。ああ、私もこういう言い方をしてるんだなって、壮大なブーメランが返ってきた気持ちになります(笑)。

――改めてですが、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』というタイトルに思うことはありますか。

家族だから愛することが義務になるとしんどいと思うんですよね。そうではなく、あなたのことを愛した、それが結果的に家族だっただけという視点は素敵だなと思います。

――坂井さんにとって、家族とはどんな存在でしょうか。

すごく面倒くさいですよね。そばにいる分、いろんなことが目につくし気になる。けれども、いちばんいとおしい存在でもある。興味がなかったら、面倒くさいなんて感情にも至らないですもんね。面倒くさいと思えるのは、それだけいとおしい証拠。

それこそ家族は面倒くさくて当たり前と思っておくと、何か事件が起きても「お、来た来た!」と面白がれる気がするんですよね。完璧さを求めすぎず、理想を持ちすぎないことが大切なのかなと思います。

ピアス¥97900、リング¥159500/ENEY(tel. 03-3401-0842)


坂井真紀 Maki Sakai
1970年生まれ、東京都出身。1992年俳優デビュー。以降、数々の映画、ドラマ、舞台に出演。近年のおもな出演作に、映画『そばかす』『はるヲうるひと』『痛くない死に方』、ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』『泳げ!ニシキゴイ』『この初恋はフィクションです』『おかえりモネ』など。現在、映画『ロストケア』『銀河鉄道の父』が公開中。その後も『逃げきれた夢』(監督:二ノ宮隆太郎、2023年6月9日(金)新宿武蔵野館、シアター・イメージフォーラムほか全国公開)、『水は海に向かって流れる』(監督:前田哲、2023年6月9日(金)全国公開)、『春に散る』(監督:瀬々敬久、2023年8月25日(金)全国公開)が公開待機中。

 

<作品紹介>
プレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

 

出演:河合優実、坂井真紀、吉田葵、錦戸亮、美保純 ほか
原作:岸田奈美
脚本:市之瀬浩子、鈴木史子
音楽:髙野正樹
脚本・演出:大九明子

5月14日(日)22:00~、BSプレミアム・BS4Kにて放送スタート
(毎週日曜22:00〜22:50・全10話)


撮影/中垣美沙
ヘアメイク/ナライユミ
スタイリング/梅山弘子(KiKi inc.)
取材・文/横川良明
構成/山崎 恵