今からちょうど1年前の2022年5月、一定の交通違反歴がある75歳以上の運転者に、免許更新時の実車試験が義務付けられたことをご存知でしょうか。日本人ドライバーの2割が65歳以上の高齢者ですが、2019年4月に起きた池袋暴走事故を機に、高齢者の運転については幾度となく議論されてきました。それでもなお、高齢者による痛ましい事故のニュースは絶えません。今回の相談者・由美子さんは、これが他人事とは思えないと話します。高知に住む父親の運転について悩んでいるという由美子さんの話を聞いてみましょう。

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運転をやめない田舎の父


高知の実家に1人で暮らす78歳の父。昔に比べて歳は取ったなと感じるものの、「まだまだ若者には負けん」と畑仕事に精を出しています。体も丈夫で頭もしっかりしているので、現役時代と同じように車の運転もして買い物に出かけています。

そもそも車がないと生活できないような地域なので、日々の買い物から病院通いまで、父が運転できなくなったら誰が面倒を見るんだろうという不安が頭をよぎることもあります。また、介護職に就いている友人から「運転をやめた人は、活動的な生活が送れなくなることで認知症や要介護になるリスクが高まる」という話を聞き、それはそれで困るな……とも思っています。

そうは言っても父親もあと数年で80歳。以前より体の動きも鈍くなってきたように感じますし、加齢によって視野が狭くなるという話も聞きました。本人が気づかないうちに認知機能が低下して、それが原因で事故を起こしてしまわないかということも心配です。

父親の日々の自由を奪うのか、それとも人様の命を守るべきなのか──。未だ答えが出ないまま葛藤しています。そこで先日、試しに80代に向けて免許返納という選択肢もありなのかと話をしてみたところ、「今まで事故を起こしていないんだから問題ない」の一点張りで話を聞いてくれません。

高齢者の運転が危険なのは百も承知ですが、父の気持ちも分からなくもありません。高齢者が少しでも安全に運転ができる方法などというものはあるのでしょうか。

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