戦後、時代ごとに人々が日本の皇室に求めてきた存在感


メディアとの関係については日本の皇室も同じ課題を抱えますが、加えて、後継者を男系男子に限るという明治時代以降の定めにより、皇室が消滅する危機に瀕しています。その定め自体が性差別的であるという厳しい批判もある中、そうまでして守っている権威と伝統とはなんなのかを考えざるを得ません。ロイヤルファミリーの存在を再定義する時期に来ていると言えるでしょう。アジアでの植民地支配と戦争に関わった時代から、敗戦と象徴天皇制への移行、昭和天皇の崩御を経て、そのあとを継いだ現在の上皇さまご夫妻。ご成婚ブーム以降、国民にとってメディアで馴染みの存在となったお二人は「祈る天皇皇后」として、戦争や天災、公害の犠牲者と被害に苦しむ人々に寄り添い、その姿がメディアを通じて広く定着しました。同じ時代を生きる人々の贖罪や追悼の思いを付託する存在としても、「祈る天皇皇后」は必要な存在だったと言えるでしょう。

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それから代がかわって、夫婦ともに海外で学んだ経験がある今上天皇皇后両陛下は、皇室外交の担い手としてこれまでとは異なる存在感があります。水上交通をはじめ、水をめぐる問題の研究者でもある天皇陛下は、気候危機で水資源の枯渇が世界的に深刻化する今、極めて今日的な課題の専門家でもあります。水は日本と世界各地の古い信仰に深く関わっており、同時に現在では世界共通の命の課題に直結するもの。コロナ禍ではオンラインでの公務もこなすようになりました。時代の巡り合わせとはいえ、新しい時代の天皇皇后両陛下は次第に独自の存在感を示しつつあるようにも思います。

 

さて、あなたは今後も皇室は今のような形で存在し続けて欲しいですか。変革が必要だと思いますか。なくても構わないでしょうか。