「大人の眉は、人生を語っているんですね」

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取材で「眉」について考察する機会をもらいました。確かに、眉は、ほかのどこよりも「トレンド」に左右されるパーツ。改めて、その変遷を振り返ると、時代背景や理想の女性像が透けて見えて、とても興味深いと思いました。さらに気づかされた事実があります。それは、眉という言葉が含まれる慣用句には、人の感情を示すものが多いこと。「眉を上げる」「眉を曇らす」「眉をひそめる」「眉を開く」、果ては「眉を読む」⋯⋯。目や口では隠し通せても、眉には本当の感情がにじみ出る、そういうことなのでしょう。

 

じつは、年齢を重ねるほどに、最近になって特に、「生まれつき」が一生続くと思っていた眉の形が、大きく変化していくのを感じていました。上まぶたがたるむから、額の筋肉でまぶたを持ち上げようとして、眉山が上がる。老眼で見づらいから、眉間にシワを寄せることが多くなって、眉頭が下がり、中央に寄る。フェイスラインが緩み、たるむから、目元が下がり、眉尻も下がる。そう感じているのはきっと、私だけじゃないはず。誰もが、年齢とともに、眉の「への字」化が進んでいるに違いないと思うのです。

怒っているつもりはないのに「怒ってる?」。不機嫌なつもりはないのに「機嫌、悪い?」。ただ普通にしているだけなのに「どうしたの?」「何か、あった?」。こんなふうに心配される機会が増えたなら、それはもしかしたら、眉のせい⋯⋯? 私の毎日が眉に刻まれているのだと改めて気づきました。笑顔の時間が長ければ、穏やかな眉に。しかめっ面の時間が長ければ、険しい眉に。決して、噓はつけないのだって。ああ、怖い。

年下の女性ばかりが集まった席で、この「気づき」について熱く語りました。少しだけ先輩として、今から、穏やかな眉になるような毎日を過ごす心がけが必要だというアドバイスを込めて。すると、中のひとりがひと言。「大人の眉は、人生を語っているんですね」。どきりとさせられました。私の眉には、どんな人生が見えるのだろう? どんな思考、どんな生活が見えているのだろう? もう一度、自分の眉に向き合いたいと思います。幸せな時間が見える眉を目指して。