ファッションスタイリスト佐藤佳菜子さんが日常に感じる思いを綴る連載です。

 


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なんだかんだで毎年書いている婦人の夏のTシャツ問題。ここ10年以上、毎シーズン「LOUNIE」さんとのコラボレーションの商品を作らせてもらっているのですが、3年前の春夏のシーズンから、「婦人の映えTシャツ」を作ることがライフワークのようになりました。

今年のコラボのボウタイTシャツ¥16500、スカート¥26400/ルーニィ

なぜって、40歳に差し掛かる少し前くらいから、普通のシンプルなTシャツでは、自分がなんとなくもの足りない、もしくは、なんとなく着ていて心もとないような気持ちになってきたから。体のラインも若い頃に比べてマイルドになり、そして、顔だってやわらかな風合い。はっきり言って、「わたしTシャツ似合ってる??」

ただ、いくらおしゃれをしようにも、日本の夏は過酷で、容赦ない湿度と気温の中、ぼんやりする頭で毎朝、四苦八苦しなければいけないなんて、婦人の夏は、もはやサバイバル。朝、パッと着るだけでサマになって、着心地はTシャツそのもの。しかも、自宅で洗濯ができるものがあれば、婦人の多忙な暮らしの味方になるのでは、と思いついたのがきっかけ。

婦人のTシャツはまず、少しも「やさぐれて」てはいけない。コットンの生地には、きれいな艶があって、ピンとハリがあるほどいい。西海岸のかおりがするような、「ウォッシュのかかった素材」や、こなれ感を演出する「くすみカラー」のTシャツが着られるのは、若者の特権。こちとら、ウォッシュがかかってくすんでいるのは自分の肌だけで十分なので、追加オーダーなどとんでもない。肌をなるべく輝かせて、清潔感を出すことが婦人の至上命題。

そんな使命感で作った「映えTシャツ」は、2年ともとても好評をいただき、毎年完売している。2年間共通して使ったTシャツの生地は、何度洗濯をくりかえしてもまったくへたらず、首回りもよれてこない安心と実績のある優秀なコットン。3年目の今年も迷わずに手を伸ばしました。

今年のコラボのボウタイTシャツ¥16500、スカート¥26400/ルーニィ

シンプルな長めのそで丈のTシャツに、思い切った立体感のあるボウタイ。一枚で華やかになるのに、着心地はただのTシャツそのもの、しかも洗濯機でそのまま洗えて、アイロンすらいりません。

今年のコラボのボウタイTシャツ¥16500、スカート¥26400/ルーニィ

大きなリボンに結んだときも、リボンがへたらないのがこだわったポイントです。巻き方は自由で、長めに垂らしてもいいし、片結びや、首に2周巻いて結ぶと、スカーフを巻いているようにも見えます。

夏、暑いがゆえにだらしがないゆるっとした格好になってしまうのが、たいへん苦手。仕方なく着る服ほどつまらんものはないです。もうここまできたのなら、どんな環境下でも意志を持って服を選びたい。毎日、これ気に入っているんだよな、と思いながら袖を通したい。そこへの願望は加齢とともに貪欲になってきた気がします。もうすぐ死ぬのかな、わたし。

Tシャツと一緒に、夏のスカートも作りました。腰回りがかぼちゃのようなデザインになっていて、夏のシンプルなトップス一枚でも、着こなしが決まります。腰回りのかぼちゃデザインに反して、ウエストはほっそりとメリハリがつくように計算されているので、どんな体型の方が着ても、みんなメリハリくびれバディに見えるのが最後まで心を砕いたところ。ウエストの後ろはゴム入りなので、タックインしたトップスもずれにくいし、ご飯を食べたあともリラックスしていられます。

今年のコラボのボウタイTシャツ¥16500、スカート¥26400/ルーニィ

きれいに見せたいけれど、窮屈な思いや、無理はできないのが四十路。楽してきれい見えする服を考えるのが、年々、楽しくなってきました。LOUNIEのウェブサイトで特集もやっているので、よかったら見てみてください。


スタイリスト佐藤佳菜子さんのコーディネート
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バナー画像撮影/川﨑一貴(MOUSTACHE)
文/佐藤佳菜子
構成/高橋香奈子
 


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