「頭」の言葉は唱えているだけ

写真:Shutterstock

まずは3つのうちの一番上の「頭」です。

アイデアが出なくて煮詰まったときなどに、頭を両手で抑えたり、頭を掻いたりすることはないでしょうか。定説はないようですが、私は「自分の意識が頭に向いているから」だと考えています。これを私は「頭」の意識と呼んでいます。

 

あなたが相手に自分の考えを伝えようとして、意識が「頭」に向かっているのはこのようなときです。

・暗記したことを思い出しながら話しているとき
・用意した資料やメモを読んでいるだけのとき
・ただ知識だけを論理的に一方的に話しているとき

この頭の意識から生み出される言葉を「頭のポジションの言葉」と私は呼んでいます。

「頭のポジション」の言葉のことを劇団四季では「唱えている言葉」といいます。

唱えている言葉は、文字をただ何も考えずに声を出している状態。代表例は、政治家が目線を下にして用意したメモを一方的にただ読んでいるだけのときです。心が動かされますか? 話の内容に惹きつけられますか? 答えはノーでしょう。

就職活動の面接なども同じです。あらかじめ用意した自己紹介などを暗記して話しているだけの学生も少なくないと思いますが、面接で使えそうなフレーズをネットで拾ってコピーして使っても、面接官にはまったく響きません。

頭のポジションの言葉は、「発声」と「発想」が一致していません。発想つまり言葉を発するときに頭の中で考えていることは〝借り物の言葉を間違えないように正確に話す〞なので当然です。