ファッションエディターの松井陽子さんが、今夏愛用しているサングラスを紹介します。

皆さんこんにちは。
お変わりなくお元気ですか。

大雨の被害、局地的な激しい雨、心配なニュースが続いています。一方の関東地方は早くも猛暑……。「想像をはるかに超える」というニュースの言葉に、自然の猛威の凄さ、そして恐ろしさについて改めて考えさせられます。

今朝、ニューヨークの友達と電話で話したのですが、週末は大雨で高速道路を運転するのが怖かった、と。まるで船に乗っているみたいだったと話していました。被害も出ているようで、また近いうちに大雨の予報が出ているそうで、とても心配していました。海の向こう側でもそんなことが起きているのかと、朝から心落ち着かない気分でした。

その友人とは、私の「今日のコーデ」でも毎度のように登場するサングラスのデザイナーである、Eva。もともと夫たちの藍染の作業場にアメリカのLEVI’Sのスタッフが見学に来てくれた時に、日本に滞在経験がある彼女が通訳として一緒に来てくれたのが最初の出会いでした。

当時Evaは、サングラスのディストリビューターとしていくつかの名だたるブランドとビジネスをしていたのですが、その後、オリジナルのサングラスを作りたいとブランドを立ち上げました。それが「Eva Masaki」。その優れたデザインについては、記事でも何度かお伝えしたことがあるかと思いますが、彼女はお母さんが日本人で、「ママにもフィットするように」と骨格の違いを問わず美しくかけられるように作られているのが本当に素晴らしいんです。

ほどよくモードなデザイン、美しい配色、そしてフィット感。レンズもカールツァイスのものを使うこだわりっぷり。かけ心地もよく、とにかく目がラクなんです。そして顔まわりを垢抜けさせてくれるモダンさ。私はきっとおばあさんになってもずっとEvaのサングラスを愛用していると思います。それほど気に入って1年中生活を共にしています。

「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img0
 

そのEvaが、イタリアの工場がから届いたばかりと送ってきてくれたのがこの新しいデザインのサングラス。フロントのブリッジの上にさらにブリッジがある、モード感たっぷりでありつつ、どこかレトロシック? なデザイン。結構攻めた印象になるのかと思いきや、かけてみると意外と収まりが良く、なんだか新鮮!

尖ったデザインのようで、フレームが透明でレンズも薄い色だから、”圧”がない。サングラスあるあるの“圧”……、これが真っ黒だったら、印象は全然違うはずです。うっすらと目が見えるくらい、フレームも透明だからラインがあるけれど強調され過ぎないという絶妙さ! かっこ良すぎず、強すぎず、大げさになり過ぎない。“過ぎない”から“圧”がない、そんな感じ。

 

こんなふうにこなれた雰囲気のサングラスがあると、むしろ洋服はシンプルで良い気がします。Tシャツとパンツやデニム、たとえばこんなTシャツワンピースとも。

「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img1
 
「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img2
 

このワンピースは夫たちの藍染「LITMUS」のレディースライン、「My Dearest Blue...」のものです。なぜか今年は、いつも以上に藍の青色が特別にきれいに見えて、最近は藍染の服やバッグの登場率が高め。このワンピースも何年か前のものですが、新鮮な気持ちで着ています。

藍染と一言で言っても、その仕組みは知れば知るほど複雑です。化学的な合成藍を使うものや、天然の藍の染料を使い化学的な薬品を使って染め液を作るものもあります。さらにいうと、染料も、使用する植物も染料の作り方も地域によって異なっていたり、と。

そんな中、夫たちの藍染はある意味においては、とてもシンプル。古くから日本に伝わる、自然の発酵の作用で藍の染め液を建てる「灰汁発酵建て(あくはっこうだて)」と呼ばれる染色技法。天然の藍の葉を発酵させた”すくも”という染料に、日本酒や小麦のふすま、木灰の灰汁(あく)を加えて、ゆっくりと発酵させて藍の液を建てます。発酵を安定させるために藍の甕(かめ)を毎日見守りながら、自然の作用に委ねつつ、時間と手間をかけて一枚一枚丁寧に手で染め上げていくものです。

よく驚かれるのですが、藍の液は茶褐色で、染めたては青くないんです。生地を絞り、広げて空気に触れさせることで徐々に青に変化していくのですが、その様子はいつ見ても、まるで藍の青が生まれるようで不思議な気持ちになります。さらに水で洗い、青色がしっかりとなっていくのですが、それはまさに化学で言うところの「酸化と還元」の仕組み。いにしえの人々が、一体どうやってこの染色技法を編み出したのだろうと思わずにはいられません。

藍の青色は、着ていくほどに馴染んで、その人の色に育っていくもの。同じような色味のTシャツも、それぞれの生活スタイルや着る頻度、着方によっても青色の様子は異なっていき、それもまた藍染の魅力だと思います。このワンピースも、日々の生活の中で気楽に着てもらえて、藍の経年変化を楽しんでもらえたらと作ったのですが、生地もくったりと柔らかくなってますます着心地が良くて、夏に大活躍してくれています。

シンプルでリラクシーなワンピースに、サングラスは強めなものを。決め決めにならず、かといって手抜きにも見えない。ちょうどいいバランスに落ち着きます。

そして、こんな着こなしの日は、ネイルカラーもちゃんとアップデート!

「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img3
 
「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img4
 

七里ヶ浜のコスメキッチンで見つけた「to/one」のネイルポリッシュです。色は、オリエンタルポピー。自然由来成分約80%で、爪にも優しそう。色調は鮮やかで、みずみずしい透明感が。夏にぴったりのネイルを発見してうれしくなりました。他にも気になる色があったので、またチェックしに行こうと思っています。

小物って洋服よりも印象を新しくしてくれるのかもしれませんね。特に着こなしがシンプルになる夏は、小物合わせがおしゃれを決定づけると言っても過言ではないかも。

……って、毎年のように夏の始まりに言っている気がしてきましたが(苦笑)。

顔まわりも、そして指先も、全身で見ると小さなパーツですが、そのパーツに新しいものを加えるのは印象のリフレッシュに効果大! 空気感がガラリと変わると、気持ちまでちょっとワクワクして、それもまたうれしいです。


それにしても、自然も悲鳴を上げているのでしょうか。便利至上主義のような社会に生きる私たちも、そろそろ自然の声に耳を傾け、直視して、未来を見据えた課題に取り組まないと間に合わないことが出てくるのかもしれませんね。

小さな心がけもたくさん集まれば、いずれは大きな勢いになっていくと信じて。

……と、そんなことを考えた昼下がり。でした。

夏休みの計画もまだ立てられぬままですが、7月中は仕事いっぱいして、8月はのんびり休み気分を満喫したいなと目論み中。

皆さんのこの夏は、どんなふうに過ごされる予定ですか。


それではまた2週間後に。
ごきげんよう!

Good day!!

松井陽子
Yoko Matsui
Instagram: yoko_matsui_0628

構成/幸山梨奈

ファッションエディター松井陽子さんの「私服コーデ」最新20ルック
▼右にスワイプしてください▼

【40代コーデ】ファッションエディター松井陽子さんの最新20ルック>>


前回記事「初夏の晴れた日は「ボリューム袖の黒ブラウス」。ほんのり透ける素材が涼しげでデイリーに活躍」はこちら>>

これまで紹介したコーディネート一覧を見る

「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img5
 
「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img6
 
「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img7
 
「サングラス」は”圧”がない、透明フレームで薄色レンズ。大好きな「EVA MASAKI」の新作です_img8