ミドルエイジが直面する介護やお金の問題について、介護の専門家でFP資格を持つ渋澤和世が、皆さんのお悩みにお答えします。今回は、老親を扶養に入れると節税につながる「老人扶養親族」についてです。

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月に6万円もの差がある男女の年金


厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号:公務員以外の民間企業から加入)受給者の平均年金月額は、2020年度末時点で14万6145円(老齢年金のみの金額)となっています。男女別の平均年金月額は、65歳以上の男性で17万391円、女性は10万9205円と6万円ほどの差があり、夫に先立たれた妻は生活が困窮してしまう可能性も秘めています。

今回の相談者・桃子さんも、父親を亡くして1人になった母親の年金の少なさに嘆き、支援をしているそう。話を聞いてみましょう。

母親を扶養に入れる!?

大学入学を機に上京し、東京での暮らしも30年以上になりますが、最近は実家の広島で暮らす母のことが気がかりです。

母は今年で76歳。専業主婦歴が長く、外で働くのは向いていないと話すものの、これまで何不自由なく暮らしてきました。ですがそれも3年前までの話。ちょうどその頃、ガンを患っていた父が亡くなり、支給される年金の額がグンと下がってしまったのです。母は私を産むタイミングで仕事を辞めてしまったので、それほど多くの年金をもらえず、年金だけでは余裕のある暮らしができません。

家族のためにずっと家事や子育てをしてくれた母を見て、老後の今は外食や趣味も楽しんでほしいと思っています。そこで年金暮らしの母親の生活の足しになればと、これまで毎月2万円の仕送りをしてきました。

私は50代になる今も正社員として働いているので、夫に迷惑をかけない程度に仕送りは捻出できていて、かれこれそんな生活が数年続いています。ある日同僚にその話をしたところ、「生活の支援をしているんだったら、お母さんを扶養に入れたら桃子の税金の負担を少なくすることができるかもしれないよ」と言われました。

扶養というと、会社員の夫が専業主婦の妻や子どもを養うイメージだったので、同期の話には驚きました。そもそも2万という金額でも対象になるんだろうかという疑問もあります。また、離れて住む親を扶養に入れるということはあり得るのでしょうか。大学生が親元を離れて生活している場合などに、月々10万円ほどの仕送りを指すイメージを持っているもので……。

そもそもどんな条件であれば親を扶養に入れることができるのか、詳しく教えてください。


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扶養控除の対象者とは?
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