関係を長く続けるには本音も大切


森田 性に対しておおらかな文化はもともと日本にはあったと思うの。江戸時代は、銭湯も混浴だったし、庶民の多くは質素な6畳ひと間の長屋暮らしで、プライバシーもほとんどない。両親のセックスの声だって子供に聞こえていただろうし、もっと性が身近にあった。夜ばい文化や、夫が自分の妻に対して、「ちょっと隣の若いもんに教えてやれよ」みたいなことも大昔はあったのよ。

福本 そうやって、性をオープンに楽しんでエネルギーを交換していると元気でいられそう。

森田 うん、元気になる。難しい問題だけど、男も女もだいたい3年で相手に飽きるようになってるから。

福本 じゃあ、どうやったら関係を長続きさせられるんですか?

森田 お互いのいいところを常に見合うこと。それが難しければ、1回離れてみてもいいと思う。長く連れ添う中で、お互い身体が変化していき、体調を一定に保つことも難しくなってきて、さらに家族や仕事のことで悩むことが増えてくる。さまざまな精神的な原因によってセックスがスムーズに行えないことだって多くなる。特に男性はEDで悩んでる人も少なくないよ。パートナーに言えず、病院に行ってバイアグラをもらってる人もいる。

 

福本 パートナーに言えないのは、恥ずかしいから?

森田 そうだね。自分は役に立たないと思い込んじゃう。だから、関係を長く続けていくにはお互い本音で話し合えることが大事だと思う。

 

福本 そうですね。そして、お互いの変化を受け容れられるか。

森田 うん、それもセクソロジーだと思う。どうしても受け容れられない、関係を続けられないと思ったら「今までありがとう」って言って、それぞれ次に向かって歩いていったらいい。

福本 自分にも相手にも正直になる。

森田 そうだね。産む人、産まない人がいるように、いろんな愛の形、家族の形があっていいと思う。前も話したように私も血縁関係のない桐島洋子さんと12年間一緒に暮らしたし。一人の人と添い遂げて子供を育てることも素晴らしいけれど、子供がいる人生が正解だと思い込んで、辛い不妊治療で苦しい思いをしたり、追い詰められる人もいる。でも、子供がいない人生だって幸せ。自分の生命がキラキラ輝くことが何より大事だと思うんだよね。

福本 人間って本来そういう生き物だった気がする。でも、文化とか社会規範とか法律とかができてきて、そういうわけにはいかなくなってきた。

森田 少し前までは女性はなるべく20代で結婚して、子供を産むライフスタイルがベストだっていう押しつけもあったわけでしょう?

福本 今もそういう意識はなんとなく残っていますよね。まず自分の生き方のマインドセットとして一人一人が自分の身体と心に向き合って、どうしたら自分はうれしいのか、気持ちいいのかってことを知っておく。コミュニケーションにも心を開いてみる。そうすれば人生が豊かになっていくはず。