30歳を過ぎて実家住まい、すべて母親任せの夫


2人はトントン拍子に結婚が決まり、まずは新居を探すことに。ちなみに夫はこのときまで都内の実家暮らしだったそうで、新居探しや購入、手続きまですべて彼の母親がしてくれたと言います。

これにも驚きますが、当時の小百合さんは「すごく優しいお母さんだな」と思っていたそうです。

「出産までは特にトラブルもなく順調で、彼の親の計らいで妊娠中に豪華な結婚式も挙げて、無事出産しました。初めての赤ちゃんは本当に可愛くて幸せを実感しましたが……。

出産直後から、夫がほとんど家にいない状態になりました。たしかに職業柄土日も働いていましたが、それにしても、平日も週末も仕事と言って家にいませんでした」

初めての子育てで戸惑いも多い中、小百合さんは完全にワンオペの日々となりました。父子家庭だったこともあり里帰りもせず、すべてが手探りで大変な日々だったそうです。

「夫の中では、彼は働いてお金を稼ぐ、私は家事と子育てをする、という線引きをきっちりしていて、それがお互いの役割だと思っていたようです。子育てを一切しないのはもちろん、例えばオムツやミルクなどの赤ちゃん用品の買い出しや、公園のおでかけなんかも一緒にしたことがありません。

私が手一杯で本当に困ったときは、義母に連絡すると、必要なものを買ってきてくれたりなどサポートしてくれました」

 

妻の出産後、夫は父親の自覚が芽生えなかったようです。夫は早朝にでかけ深夜に帰宅する日々でしたが、たまに家にいるときは、さらに小百合さんへ文句が目立つようになりました。

 

「一日中家にいるくせに家が汚い、もっと片付けろなど、日常的に怒られるようになったんです。キッチンに飲みかけの哺乳瓶が置いてあるだけで、『洗い物もできないのかよ』と怒鳴られたり。息子が泣くのも嫌なようで、『泣かせるな、黙らせろ』とキレたり、気づいたときにはすごく怒りっぽい人になっていました」

父親として、またひと回り以上年下の妻に対して、あまりにも自己中心的で子どもじみた態度だと思いますが、産前からその兆候はなかったのか気になります。

「そういえば、ちょっとしたことで妙に怒らせてしまうことがありました。例えば私が彼の血液型を覚えていなかったことに物凄く怒って、デートの途中で1人で帰ってしまったり。何度も謝って仲直りしましたが、普段は優しいのに急に怒るという面が、結婚後、子どもが産まれてから日常的になってしまいました」

ちなみに小百合さんの性格上、夫に反抗することはほとんどなく、彼が怒ると基本的には謝り許してもらうという構図でした。年齢差か、もともと職場の上司という関係性の影響もあったのかもしれません。

ワンオペで子育てをする中、怒りやすい夫のプレッシャーまでかかれば相当なストレスだったと想像しますが、しばらくして、やはり小百合さんの身体に異変が起きてしまったのです。