〔ミモレ編集室〕で月に1回開催されているオンライン編集会議。先日、その中で「短歌発表会」が行われました。今ブームとなっている短歌を、ミドル女性たちはどのように楽しんでいるのでしょうか?
「短歌部」創設はメンバーの声がきっかけ?
〔ミモレ編集室〕では、メンバーたちがそれぞれ興味のあるグループに自由に参加できる「部活動」が盛り上がっています。その中の一つである「短歌部」はメンバーでの声で誕生しました。発起人はミモレブロガーとしても活動中の福原美和子さん。メンバーが自由に短歌を詠み、感想を伝え合う場として「短歌部」が創設されました。短歌部創設から約2ヵ月、現在の部員数は48名。毎日いくつもの短歌が投稿されるようになりました。
43首の短歌が朗読された「短歌発表会」
投稿の場があることで、〔ミモレ編集室〕内での短歌熱は高まるばかり。そこでミモレ編集部が、より盛り上がるようにと「短歌発表会」を企画し開催する運びとなりました。事前に短歌を募集したところ、43首が集まりました。
自作はもちろん、他のメンバーが詠んだ短歌でも、心に残っているものがあれば応募でき、優劣つけずに味わおうという趣旨です。
それでは、ミドル女性たちによる秀逸な短歌をいくつかご紹介します。
〔ミモレ編集室〕の魅力を伝える短歌
メンバーたちがお互いのコメントで悩みを共有し合い、励まし合う場でもある〔ミモレ編集室〕。前向きな雰囲気が醸しだされる中で、〔ミモレ編集室〕の魅力が伝わる短歌が生まれました。
「短歌部の発足が嬉しくて、みんなで気軽につくっていきたいな」という気持ちで詠んだそう。31音の中で自由に自分を表現し、一緒に楽しもう! という意気込みが感じられます。
さまざまな人生経験を積み重ねてきたミドル女性たちが集う場には、これからの生き方を見つめるヒントがたくさんあります。川良編集長からは「編集部に貼っておきたい。励まされる!」との声があがりました。
ミドル女性ならではの短歌に共感
”大人世代”カテゴリーの短歌には「わかる〜」という共感の声が多くあがりました。
「衣替え/半袖だけは/しまえない/自律神経/戦う婦人」amandaさん
「姉が年中ノースリーブだったのを笑っていましたが、それを笑えない年頃になってきた自分自身」を詠んでいるこの歌。クスクスっと笑いがおこりました。
「情景や心境が伝わってくる」「想像できる」との感想がよせられました。体調の変化やミドル女性特有の症状も、短歌にすることでちょっと笑える瞬間に。いちいち誰かに話しはしないけれども、大人世代が感じていることを詠んでみると共感の輪が広がります。
「まだイケる/6キロ痩せて/シミとって/あとシワ・たるみ/ほうれい線を⋯」ナオムさん
「PMS/排卵痛に/生理痛/そのうえさらに/更年期とか」ナオムさん
「そうそう!」「わかる!」の大合唱が湧き起こりました。加齢を受けとめつつも、元気に若々しく過ごしていきたい一面が感じとれます。ホルモンに翻弄されている様子が想像できるとの声も。細かいニュアンスが伝わるのも、多くのミドル女性に馴染みある悩みを題材にしているからですよね。
日常の瞬間を見逃さない
「ほっとして、くすっとして」「君を想う」など、11のカテゴリーに分けられた短歌のどれも、普段の生活から切りとった情景や作者の心の動きを表現しています。
「カフェラテを/ホットで頼んだ/瞬間に/今年も秋が/来たことを知る」池田マイさん
「何煎りにする?/味違う?/今日で何千回目の/コーヒー談議」harunatsuさん
「選択は/正しかったか?/洗濯の/ぐるぐるタオルに/問いかけている」ゆうゆうさん
季節を感じた瞬間や仲良し夫婦のコーヒー談議、物思いにふける洗濯時間など、どの短歌も作者の人生に光をあて、詠んだ人の心をグッとつかみます。
「黒髪の/乱れをさらに/荒らすかの/ごとくかきやる/小さなもみじ」シェリー/岸志帆莉さん
「ひまわりの/ようになれと/育てた娘(こ)/まばゆいばかりに/今咲き誇る」ゆみさん
「秋風に/誘われ緑の/散歩道/どこまでも行く/君の背中よ」めぇさん
子育て真っ最中のメンバーも、すでに子どもが独立したメンバーも、ハッとした瞬間や自分の心が動いた経験をもつ人は少なくないはず。忙しくしていると忘れさってしまいがちな気持ちを短歌にしてみると、そのときの想いは消えることなく他人の心にも響きます。
暮らしの中で短歌を詠む楽しみ
いつでもどこでも始められるのが短歌の魅力。すでに短歌作品を新聞歌壇などに寄稿してるメンバーもいますが、多くが短歌を始めたばかりです。初心者でも大丈夫! 日常の気づきやちょっと笑える瞬間、切ない記憶など題材は無限です。
短歌をはじめると、ふとした感情や目の前の状況を31音に残したくて、言葉探しをするようになります。あれもこれもとつめこむのではなく、言葉数を削っていく作業は「何が言いたいの?」と自問自答を繰り返す時間。忙しいミドル女性にこそ、自分と向き合う一つの方法が短歌なのかもしれません。
「短歌発表会」の締めくくりで、川良編集長、常松さん、大辻さんからの感想がありました。「言葉の力がすごくて胸がいっぱいになった」「短歌を味わい感情が豊かになった」とのことで、話の流れは「季節ごとに開催したいね」という方向へ。これからの展開に期待が高まり、短歌部のメンバーにとっては大きな励みとなりました。
いつか〔ミモレ編集室〕短歌部の作品集がまとめられる日がくることを願っています!
文/文月
文月さん
京都出身でオーストラリア在住23年目。〔ミモレ編集室〕で短歌の楽しさを知りました!気がつくと指折り数えながらピタッとくる言葉を探しています。