ずっとやってきたことの延長線に、可能性がある


——連載で対談相手としてお呼びした方たちは、職業も望海さんとの関係性も様々ですよね。どのような繋がりがあるのでしょうか?

望海 いきものがかりさんは宝塚時代から大好きだったので、ずっとお会いしたいと思っていました。あとは宝塚の同期、共演した方、一緒に作品をつくった方々が多いです。野田秀樹さんとも対談させていただいて、とても光栄でした。たとえば、野田さんがつくられる世界は、私にとっては未知の世界です。とはいえ、まったく別の世界というわけでもありません。だからこそ、お話を伺ってみたかったんです。

 

望海 野田さんをはじめ、これまでお会いしたかった方たちに、勇気を出して「お会いしたいです」と伝えることで実現した対談は、自分の中で変化や発見があるんじゃないかというワクワク感がありました。

 

——そこから望海さんが発見したものは何だったのでしょうか。

望海 「可能性は山のようにある」ということでしょうか。宝塚を辞めて、私に何ができるんだろうと不安に思っていましたが、やっぱりずっとやってきた延長線にこそ“何か”があるんだなって。歌も好きですし、お芝居をすることも好き。人と何かをつくることが好きで、劇場が大好き。「ミュージカル」というものが自分にとって今一番“できること”ではあると思いましたが、その中で「お芝居」にも興味が湧いたんです。

私は本格的な芝居は全然やったことがないから、と思っていたのですが、野田さんと実際にお話をしていくと、「好きなものに打ち込んでいるうちに、段々それが作品になり、お客様にお届けできるものになる」という感覚は一緒なんだなって。特に野田さんはワークショップから徐々に作品をつくり上げる方なので、すごく理解できました。

好きな世界だけど、そんな場所には入れないんじゃないかと思っていた私が、対談を重ねることで「もしかしたら、私にも無理ではないのかも」と思えるようになりました。