観客とこれほど近い距離での公演は久しぶり。ファンたちのエナジーを全身で受け止めることができ非常にありがたかった


――10月に東京で開催されたKOREA SPOT LIGHTのステージに立ち、9月には4年ぶりの日本ツアーを開催しました。久しぶりに日本でライブを開催して、いかがでしたか。今回の日本ツアーで印象に残ったことはありますか?

コロナ禍で、公演の予定がキャンセルになり非常に残念でしたが、今回ようやく公演が実現してとても嬉しかったです。観客とこれほど近い距離での公演は久しぶりだったので、ファンたちのエナジーを全身で受け止めることができたことが非常に印象的で、ありがたかった。とても楽しく演奏できました。

4年ぶりに開催された日本ツアーの一コマ。撮影/畔柳ユキ


――日本のファンと韓国のファンの違う部分と同じ部分を教えて下さい。
 
同じ部分としては、我々の音楽を大事にしてくれるところ。違う部分は、表現の方法として韓国のファンは親しみを持って表現してくれる半面、日本のファンは格式を守って表現してくれるように感じます。しかしこれは韓国ファンと日本ファンの違いというより、人によって表現の方法が違うように思います。

 


――日本のアーティストで好きな人、影響を受けた人を教えてください。

Bump of Chicken、Nulbarich、宇多田ヒカル、東京事変、Official髭男dism、Radwimpsの音楽が好きです。

――浮き沈みの激しい韓国のポピュラー音楽界で、NELLが24年以上、愛される理由は何だと考えていますか。

NELLにとっては音楽が最優先順位であるので、音楽を大事にして愛する思いが、ファンにも伝わっているからではないか、と遠慮がちに考えます。

撮影/畔柳ユキ

――NELLというバンド名は、ジョディ・フォスター主演の映画『ネル』(1994年)のタイトルから取ったと聞きました。主人公のネルが、人間社会と断絶された生活をしたため、誰も理解できない言語を駆使したように、自分だけの音楽で世界と疎通するという意味を込めたと。「自分だけの音楽」をどのように定義していますか。

「自分だけの音楽はこういうものだ」という大げさな意味よりも、わたしにとって音楽とは、この世界から守ってくれると同時にその中にうまく溶け込ませてくれるという、相反する二つの役割をしてくれる、一番親密な友人のようなものだと思っています。

――NELLのメンバーの皆さんと同世代であるミモレ読者の皆さんにメッセージをお願いします。

ミモレの読者の皆様、お会いできて光栄です。この先もお会いできる機会が多くあればいいなと思います。2024年も日本での公演を準備していますので、ぜひ見に来てください!


取材・文/桑畑優香
構成/露木桃子