不妊治療している人は、周囲に遠慮し過ぎないで欲しい

——友達の妊娠におめでとうと素直に思えない自分が嫌だったそうですね。

山﨑:でも、同じような数値だった人が妊娠できるってことは、自分にも可能性がある証明でもあるから、希望を持てたりもして。だから私はめちゃくちゃTwitterで不妊治療している人の様子を検索してました。

——だいぶ時代が変わってきたとは言え、不妊治療のとき、女性が仕事を早く切り上げないといけなかったり、休まないといけないとき、なかなか不妊治療が理由でとは周囲に言いづらかったりしますよね。

山﨑:普通の会社の方は言いにくいかもしれないですね。私はマネージャーが女性だから言いやすかったんです。これが例えば、すごく年配の男の人がマネージャーだったら言いにくいですね。

 

——相方の山添さんには不妊治療のことは話していたんですか?

山﨑:相方には普通に話していました。不妊治療するってなったときに、急に休まなきゃいけない日も出てくるかもと話をしたら、「もうケイさんの悔いのないようにもやっていただいて構いません」と言ってくれて。1回だけ、どうしても不妊治療でステージを急にお休みする日が出てしまったときは、相方が1人で舞台に立ってくれました。嫌な顔一つせず「そういうときのためにピンネタを作ってたんで」と快くやってもらいました。

不妊治療って、本当に「この日のこの時間」っていうのがあるんですけど、ピンポイントで仕事を休まざるをえないことへの理解ってなかなかされにくいんですよね。どうしても不妊治療と仕事の両立ができなくて、仕事を辞めなきゃいけない方もいらっしゃいますよね。この問題、どうやって解決したらいいのかなと思いますね。

 

——相方の山添さんが、山﨑さんが仕事を休むときのためにピンネタを作っておいてくれたように、誰が急にいなくなっても、他の人で回せる前提作りっていうのが大事ですよね。

山﨑:あとは、不妊治療をする人は多少の図太さを持ってもいいと思います。不妊治療のことを言いやすい環境が一番素晴らしいですけど、どうしても言いにくい環境なら言わなくてもいい。別に「風邪ひきました」とか言って、当日休んでもいいと思います。申し訳ない、迷惑かけるって考えてると、もうどうにもなんなくなっちゃう。

周りに気を遣っちゃう人に限って、なかなか普段から仕事も一生懸命で休まないから、休むと周りに迷惑かけちゃうと思っちゃうと思うんですけど、もう人生がかかってるんだし、私がこの日のこの時間に行かなかったからってどうにかなる会社なんだったら、もうどうにかなっちゃえばいいんだぐらいの気持ちでいくしかないと思います。

取材・文/ヒオカ
撮影/日下部真紀