—— 私立の小学校なのですね。
当時、障がい児が通える学校は公立しかないと思っていた私に、その先生は穏やかにおっしゃったのです。
「あなたのお嬢さんは愛育が合っていると思うの。それぞれのお子さんの特性に個別に寄り添ってくれるから、あなたも安心でしょう。地元の公立校でやっていけそうと思ったタイミングで転校してもよいし、見学に行かれたらどうですか」
教育委員会の先生の助言のおかげで、不安でいっぱいだった心の中に、希望の光が差し込んできました。どんなところだろう。思い切って愛育学園に電話をかけ、面談を予約しました。
——障がいのあるお子さんが通える私立の小学校というのは、どれくらいあるのでしょうか?
私立の特別支援学校は盲学校や聾学校を含めて、全国に14校です。とはいえ、これは小学校だけの数字ではなく、愛育学園のように小学部までの学校や、高等部のみという学校も含めてです。
健常児が通うあまたある私立校と比べて、障がい児の育ちの場の選択肢のなさに愕然としました。
高等部から先の、大学や短大に相当する専攻科は10校ほど。学校法人が保障する生涯教育の場がもっと広がってほしいと思います。
【つづき】第8回はこちら>>>【障がい児を育てながら働く⑧】「この小学校なら、娘も大丈夫」と確信。私立特別支援学校「愛育学園」との出会い
著者プロフィール
工藤さほ
1972年12月生まれ。上智大学文学部英文科卒。1995年朝日新聞社に入社。前橋、福島支局をへて、東京本社学芸部、名古屋本社学芸部、東京本社文化部で家庭面、ファッション面を担当。2012年育休明けからお客様オフィス、2019年から編集局フォトアーカイブ編集部。こども家庭審議会成育医療等分科会委員。東京都出身。
2023年3月9日(土)「多様性を認め合う風通しのよい社会を目指して」
連続セミナーの最終回となる今回は、衆議院議員であり、障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会顧問の野田聖子さん、障がい児や疾患児の両立支援制度の拡充を4月から実施するJR東日本会長の冨田哲郎さん、障がい児を育てる家族への支援を今年の春闘に盛り込んだ電機連合中央執行委員長の神保政史さんをお招きし、お話を伺います。参加は無料。事前にお申し込みが必要です。申し込み受付期間は、2月29日(木)まで。
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★「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」は、朝日新聞厚生文化事業団の共催で連続セミナーを開催しています。過去のセミナーはこちらからご視聴いただけます。
第1回 障がい児・医療的ケア児の親と就労「障がい児を育てながら働く 綱渡りの毎日」
第2回 障がい児・医療的ケア児の親と就労「取り残される障がい児・医療的ケア児の親たち」
★「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」へ参加ご希望の方はこちらからお申し込みください。
構成・文/工藤さほ
編集/立原由華里
第1回はこちら>>>【障がい児を育てながら働く①】親が離職し、経済的にも困窮。ワンオペ育児・介護で親も心身に不調をきたし...という現状を変えるために
第2回はこちら>>>【障がい児を育てながら働く②】「この子、なにか違う?」出産直後から日々募っていく、そこはかとない“不安”
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第4回はこちら>>>【障がい児を育てながら働く④】“復職”したい。けれど長女を“受け入れてくれる場所”がない...
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